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【野球人が紡ぐ言葉と思い】「もう1回ホームランを打ちたいなぁという気持ちの方が強かった」――復活の契機となった中村剛也の“こだわり”

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THE DIGEST

「野球を辞めると考えるより、もう1回ホームランを打ちたいなぁという気持ちの方が強かった」(西武・中村剛也) 【西武キャンプPHOTO】松坂が背番号16のユニフォーム姿を初披露&今キャンプ初のブルペン入り!  昨年、西武の4番に返り咲いた中村は4年ぶりに打点王のタイトルに輝いた。通算400本塁打も達成するなど、見事な復活を遂げたシーズンだった。  もっとも、2016年からの2年間、中村はどん底の状態だった。打率は2割台前半をさまよい、本人も「18年の前半までは全然打てなかった」と苦しい胸の内を語っている。  年齢的なこともあって「引退」の2文字も考えなかったわけではないが、そこで中村が立ち返ったのは、ホームランへのこだわりだった。「やっぱりホームランを打ちたい。打ってチームの勝利に貢献したい」。そう思った中村は18年、プロ17年目にして初めて打撃改造に取り組んだ。  もともと、中村のフォームは無駄のないスウィングが特徴だ。チームメイトの山川穂高のように大きな反動をつけることもなく、投手に正対したままの状態でボールを待ち、インパクトの瞬間だけに力を結集する。静かにスウィングすると言うと分かりやすいかもしれない。    ところが絶不調だった18年前半までは、そのフォームではミスショットしてしまう日々が続いていた。ホームランになると思った打球が届かない。甘い球を空振りしてしまうこともあった。そこで、フォームに動きをつけた。具体的には、打席で左足を上げた時に、腕を少し上下させてからトップに入っていく動きを取り入れたのだ。 「今まではまったく動かさなかったんですけど、いろいろ試した中で今の形になりました。今は染みついてきたので、すごく動かしているという意識があるわけではないんですよ。ほんのちょっと変えただけです」  おそらく、身体が止まったまま始動すると、パワーを解放するインパクトの時にうまく力が伝わらなかったのだろう。それがスウィングスピードや力負けにつながっていた。ボールを待つ段階から動きをつけることで、かえって身体全体がうまく働くようになったのだ。  フォーム改造の結果、昨シーズンの中村は、4年ぶりに30本塁打の大台をクリアした。今季は11年ぶりの40本塁打を目標に掲げていたが、新型コロナウイルスの感染拡大による開幕延期で、この数字をクリアするのは難しくなってしまった。だが、「30本塁打では少ないと思っている」と語るアーチストは、あくまでも目標にこだわり続ける。そしてこれからも、その大きな身体から放たれる大きな当たりで、我々を魅了してくれるに違いない。 取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト) 【著者プロフィール】 うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。  

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