大原高校で地元若手漁師が授業 仕事の面白さ伝える、伊勢エビの試食も
千葉県立大原高等学校(いすみ市大原)で9月5日、地元若手漁師を講師に招いた授業「ライフキャリア」が行われた。 (外房経済新聞) 【写真】「伊勢エビの身剥がし」に挑戦する生徒 ライフキャリアの授業は、3年生の選択授業として毎週木曜の3・4限目に開講。昨年までは「一般教養」として開講していたが、本年度から名称を変更し、毎週さまざまな人を講師に招いている。 今回の講師は地元・大原出身の漁師田口光哉さん。高校卒業後、自衛隊を経て漁師になり、現在21歳。田口さんは「私たちのちょっとした先の未来の話」をテーマに、漁師の仕事や現在の漁業の現況、新しい取り組みについて講演。「伊勢エビ漁は夜中1時30分頃ごろに起床し、2時に出港。網上げが始まり5時に帰港する」と田口さんが話すと、教室からは「自分たちが寝る時間に、もう起きて漁に出ている」と、驚きの声が聞かれた。 教室には、その日水揚げされた伊勢エビも用意。田口さんが生徒の前でさばくと、「普段、目にする機会がほとんどない」と、生徒たちはその様子を熱心に眺めていた。中には、田口さんに教わりながら「伊勢エビの身剥がし」に挑戦した生徒もいた。 さばいた伊勢エビは、皆で試食。「初めて伊勢エビを食べたが、甘くておいしかった」という声が多く上がった。試食後は、グループごとに伊勢エビなどの地元食材を使った新しいメニューを考案。伊勢エビを使った海鮮丼やラーメン、アイスやサイダーなど、さまざま様々なアイデアが飛び出した。 先輩漁師と若手野菜農家と一緒に「大原鮮魚」としても積極的に活動している田口さん。「今回出たアイデアは、大原鮮魚で実際に形にできないか考えていきたい。これからは魚を多く捕って多く売るのではなく、質にこだわった捕り方や付加価値を付けて売っていくことが大事」と話した。 同授業を担当する鈴木洋松教諭は「毎回、さまざまな職種の人を講師として招き、授業を行っているが、地元漁師で、かつ、ここまで若い人を呼ぶのは初めて。生徒とも年が近く、普段体験できない試食もあり、アイデアが活発に出たのでは」と振り返る。 田口さんは「今日の授業が、地元のおいしいものや地域の未来について考えるきっかけになれば。これからの未来を作っていくのは、君たち若者。いろいろなことにチャレンジしていくと、それが人のためになり、仕事になる。楽しい仕事を自分たちで作っていってほしい」と呼びかけた。
みんなの経済新聞ネットワーク