【プロ野球監督通信簿(セ・リーグ編)】 リーグ優勝の阿部監督、日本一の三浦監督、最高評価はどの監督
【3位】評価:B+ 阪神・岡田彰布前監督 (※リーグ2位、74 勝63敗6分、勝率.540) 投打共に充実した戦力で球団史上初のリーグ連覇を目指したが、終盤の猛追は実らなかった。森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔とクリーンアップが打撃不振に陥るとファーム降格させ、打線のやりくりに苦労しながらリードオフマンの近本光司を4番で起用した時期もあった。先発陣も伊藤将司、青柳晃洋が不調で白星が伸びないなど想定外も多かった。その中で、8月終了時点で3だった貯金を11まで増やし、逆転優勝の可能性を感じさせた。「岡田監督でなければ、優勝争いできるチームに立て直せなかった」という評価がある一方で、状態が最後まで上がってこなかった中野拓夢、木浪聖也の二遊間、捕手の梅野隆太郎、坂本誠志郎を固定して起用し続けた采配には疑問の声もある。チームの活性化という点では他の選手を使う選択肢もあったが、まだまだ力不足と感じたか。来季は藤川球児新監督に指揮を譲る。 【4位】評価:B 広島・新井貴浩監督 (※リーグ4位、68勝70敗5分、勝率.493) 8月まで首位争いを繰り広げたが、9月以降に7勝22敗と大失速。リーグ優勝どころか、CS進出も叶わなかった。就任1年目の昨年は、4年連続Bクラスだったチームを2位に躍進させたものの、シーズン終盤に失速して阪神の首位独走を許した。その反省から、先発投手の登板間隔を空けて勝負の時期に備えたが、投打の歯車がかみ合わなかった。長距離砲が不在で二けた本塁打は捕手の坂倉将吾(12本)のみ。助っ人外国人野手の2人が稼働しなかった状況を考えるとベンチワークに限界があったのも事実。だが、状態が上がってこなかった松山竜平、田中広輔ではなく若手を抜擢する選択肢もあった。矢野雅哉を遊撃に抜擢し、小園海斗を三塁に回す大胆なコンバートは成功した。来季の打線強化には外部補強が不可欠だろう。
【5位】評価:C ヤクルト・高津臣吾監督 (※リーグ5位、62勝77敗4分、勝率.446) 21年に日本一、22年にリーグ連覇に輝いたがその後は下降線をたどっている。昨年に続き2年連続で5位。7月以降は借金2ケタに低迷し、反発力がなかった。投手陣の再建はリーグ連覇を飾った時からの課題だが解消されておらず、今季2ケタ勝利を挙げた投手はゼロ。打線も故障が多い山田哲人、塩見泰隆の穴が埋められず、今オフにポスティング・システムでメジャー挑戦の可能性が高い村上宗隆の後継者となる長距離砲も育っていない。遊撃の長岡秀樹が最多安打のタイトルを獲得したのは明るい材料だが、若手育成の点でも不満が残る。課題が山積みの中、就任5年目の来季はチームをどう再建するか。険しい道になりそうだ。 【6位】評価:C 中日・立浪和義前監督 (※リーグ6位、60勝75敗8分、勝率.444) 高津監督と同じ「C」評価だが、僅差で6位とした。チーム再建を託されて22年に就任したが、球団史上初3年連続最下位に低迷。今年限りでユニフォームを脱いだ。高橋宏斗、岡林勇希、細川成也、村松開人、松山晋也ら立浪前監督の下でブレークした選手は多い。育成の手腕は評価されるべきだが、プロは結果がすべての世界だ。今年は4月に首位に立つ快進撃を見せたが、5月以降は借金生活で低空飛行に。打線を積極的に組み替えたが功を奏したと言えない、好調な打者をスタメンから外す不可解な起用法で得点力が上がらず、ベンチワークが機能していたとは言えない。チームに閉塞感が漂っていたのも気になった。 (今川秀悟)
今川秀悟