激増する闇バイトの犯罪:「楽な金もうけ」が生む悲劇
悲劇を生まないために
昨今、世間の風潮として、YouTuberやカリスマ投資家を礼賛し「楽してカネをもうける者がすごい」とばかりに、マスメディアがもてはやすきらいがないだろうか。 さらに、老若男女を問わず、SNSで日常生活の一部を切り取り、キラキラした華美な生活をしているような発信をして自己の存在確認に明け暮れている。こうした発信を若者が目にしたら、「自分もワンチャンゲットして、キラキラした生活がしたい」と憧れるのも当然だ。 SNSによる過剰な自己主張を、まずは大人から改めることが子どもを誤った道に走らせない第一歩ではないか。日本の社会が成熟することが先決で、そうなれば自ずと若者の意識も変化するのではなかろうか。
【Profile】
廣末 登 作家、社会学者、龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、久留米大学文学部非常勤講師、法務省・保護司。1970年福岡市生まれ。北九州市立大学大学院社会システム研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は犯罪社会学。暴力団員とその関係者など裏社会の実態を多く取材・調査している。著書に『ヤクザと介護』(角川新書、2017年)、『ヤクザになる理由』(新潮新書、2016年)、『闇バイトー凶悪化する若者のリアル』(祥伝社新書、2023年)など。