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迫る南海トラフ地震!「予知」のカギを握る「地盤と水」の意外な関係

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現代ビジネス

「昭和南海地震」から74年、「安政南海地震」から166年

 日本列島を襲う次の巨大地震として、最も心配されているのが「南海トラフ地震」です。 【写真】活断層の専門家、直下地震を警告!「いま一番危ない活断層はココだ」  紀伊半島から四国沖にかけてのプレート境界付近で巨大地震が起こると、マグニチュード8クラスの地震になると考えられており、政府の地震本部の見解では、今後30年のうちにマグニチュード8~9クラスの大地震が起こる確率は80%といわれます。  つまり南海トラフ地震は、およそ30年から50年のうちには、確実に起こる地震ということです。記録が残る過去1400年間で、100~200年間隔で巨大地震が発生してきたことが、その根拠とされています。  この地域における最後の地震は、74年前の1946年に起きた「昭和南海地震」で、マグニチュード8.0とされています。その前はマグニチュード8.4と推定される「安政南海地震」で、1854年に起きています。  この間、92年。また、南海と隣り合った東南海が連動して起こる巨大地震の危険性も指摘されており、文字どおり、最大級の警戒がなされているのが南海トラフ地震なのです。  多数の地震研究者たちが、差し迫った南海トラフ地震に対応するため、観測や調査を進めていますが、意外な視点からこの地震に迫ろうとする人たちがいます。  産業技術総合研究所・活断層・火山研究部門 地質変動研究グループ主任研究員の大坪誠さんと、地質情報研究部門 地球物理研究グループ主任研究員の宮川歩夢さんの2人が注目しているのは、「地震と水の関係」──。そのキーワードは、水晶でおなじみの「石英」だというのです。  いったいなぜ、地震の謎を探るカギを石英が握っているのでしょうか? そして、水との関係とは?   早速、訪ねてみることにしました。

地球に“聴診器”を当てる

 実際にお会いしてみると、2人は地震が起こるメカニズムに物理科学的なアプローチで迫っているとのこと。……ムムっ、なにやら難しそうな話は後に回して、まずは地震探究の世界に入ったきっかけから訊ねてみましょう。  ──大坪さんは「生きている地球の鼓動に触れたい!」という動機から、地球科学の研究者になったそうですね。そして、「地球の将来を予測したい!」という夢を抱いていらっしゃるとか。  ふつうの人は、大地はビクともしないという印象をもっているものですが、大坪さんは「鼓動」を感じとった。どういうことでしょう?   「私たちが経験する、ときどき地震が起こるということは、地下で岩盤に力がかかったり、あるいは岩盤どうしが押したり引いたりといったことがおこなわれているということなんです。いわば地震は、いちばん身近で感じられる地球の鼓動です。  ぐっと離れたマクロの視点で見ると、太平洋プレートの動きによってハワイ諸島は日本列島に年々近づいている、という現象も起きています。もし、私たちの寿命が1000万年の単位でつづくものだったら、実際にハワイが日本に近づくことを実感できるでしょう。  お医者さんは私たちの体に聴診器を当てて、身体の内部の変化を探りますよね。それと同じように、私も地球に聴診器を当てて、その鼓動を理解したいと思っているんです」(大坪さん)  ──なるほど、地球を見ている時間軸が、ふつうの人よりずっと長いわけですね。地震災害などから、地震のメカニズムに興味をもったというのとは、ちょっと違う印象です。  「ええ。私の出身は福岡県南部の八女(やめ)というところなんですが、八女は古墳時代の遺跡が多くて、子供のころは考古学に憧れていました。ところが、進学した高校では社会に日本史の選択がありませんでした。そのとき、理科ではたまたま地学を履修しました。地学担当の先生の話が面白かったこともあって、地球科学にのめり込んでいったんです。  小学校のころは遺跡発掘に夢中になっていましたが、いまや地球を掘り進む仕事をしています。対象とする時間軸は、数千年から数十万年、数百万年とかなり拡大してしまいましたが、昔の写真を見ていてふと気づいたんです。  遺跡調査をする小学生の頃の私と、地質調査をしているいまの私を見比べると、地面を掘る姿はまったく同じだな、と(笑)」(大坪さん)  大坪さんの育った八女は熊本県との県境に近く、阿蘇山にも近い。有明海をはさんで、1990年代に噴火した雲仙普賢岳が一望できる環境で育った。九州はまさに、地質や地震、火山活動と密接に関わる土地でした。

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