中国漬物産業連盟発足、地方郷土食の枠をこえて産業全体の発展を模索
【東方新報】中国・重慶市(Chongqing)で先月28日、中国漬物産業連盟サミットフォーラムが初開催された。第18回中国国際農産交易会・第20回中国西部(重慶)国際農産品交易会の重大イベントの一環で、「エコ発展、協力とシェア」がテーマ。フォーラムでは中国漬物の専門家たちが、漬物の伝統技術と現代工芸技術の融合について討論し、漬物市場のブランド確立と推進について意見交換した。 中国の漬物文化は3000年以上の歴史があり、庶民生活の中では不可欠な保存食品だ。目下全国で漬物は年産450万トン、国内市場の需要を満足させるだけでなく米国、日本など100か国以上に輸出されている。ぬか漬けに代表される日本の漬物文化も有名だが、実は日本の漬物消費量の8割が中国から輸入されている。 中国の漬物産業には、さまざまな問題がある。フォーラムでは、漬物が各地特有の自然環境の恩恵を受けた郷土食であり、それぞれの地域で技術の科学的研究、加工能力の向上などに取り組み、それぞれに優勢さを誇っている一方で、原料の集約化や標準化レベルの低さなどの問題があることを指摘し、中国漬物産業の直面する課題をどう解決していくかについて討論が行われた。 中国の漬物産業は、国民経済の中では比較的小規模で、加工企業の多くが中小零細。原料加工の水準や貯蔵能力も不十分であり、科学技術による裏付けも比較的弱く、生産品のレベルが似たり寄ったりという同質化現象も指摘されている。 加工プロセスも基準モデルが確立しておらず、検疫レベルも高くなく、市場の食品安全衛生に対する要求の高まりに十分に対応できていない。こうした問題については、全国漬物産業界の、協力の強化と共同のイノベーション開発によって解決し、業界全体の発展を推進していこうという認識が共有された。 目下、四川省(Sichuan)、重慶市、浙江省(Zhejiang)の三地域の漬物産業界が全国農業農村区の特色ある経済の優秀なる代表として、拠点を建設し、加工規模や生産の現代化、ブランド確立や、商品の開発、市場開拓のリーダーシップをとっている。地域同士の共同発展の新たなフレームの構築を加速する中で、この三地域は共同で漬物産業を発展させ、全国の農業農村経済協力発展モデルとしての影響力を発揮できる能力と条件を備えているという。 中国漬物産業連盟はこの日、設立大会を開催し、全国のメンバー企業や科学研究機関ら80社・機関の中から、業界トップ3の一つである重慶市涪陵搾菜集団(Chongqing Fuling Zhacai Group)の周斌(Zhou Bin)会長を連盟理事長に選出。「中国漬物産業連盟章程」を発表した。 周理事長は「中国漬物産業連盟として業界の情報をシェアし、お互いを補いあい、さまざまな漬物ブランドを打ち立てていき、その研究理論を深め、技術を改善していこう」とあいさつ。「われわれはお互いの足を引っ張りあうような競争はせずに、産業界がともに自律的にふるまい、業界全体の利益を上げ、発展させて、業界全体を新たなステージに引き上げていこう」とよびかけた。 連盟はさらに、協力・情報シェアのためのプラットフォームを打ち立て、資源配置の合理化、産業資源の有効利用、特に優勢企業に産業全体の共通の課題を解決するための研究を委託し、交流を強化し、成果を分かち合い、共同の発展を実現していくという方針を打ち出した。 中国漬物産業連盟が設立したことで、重慶は漬物産業発展の足場となり、積極的に現地の資金、プロジェクト、技術人材、その他の資源を統合し、漬物産業を支える農業、加工業、サービス・流通業を融合、発展させていく、とした。 中国の伝統食であり地域性の強い郷土食でもある漬物だが、今後は地域の壁をこえた協力を進め、全国、世界の市場にむけて中国の漬物ブランドを発信していくと期待されている。 (c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。