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「人と会う」ことが特別な贅沢になった今、ふらりと会えるご近所の存在の贅沢を感じる【コロナ禍で生活はどう変わったのか(佐竹 麗)】

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 自らの仕事、私生活を通じて緊急事態宣言下の2カ月間の自粛生活を「一個人」としてどのように向き合い対処したのか。  等身大の問題としてコロナ禍による暮らしの内実を綴っていただいた。  ――――佐竹さんは、元出版社の編集者であり、また母でもあり、また慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(以下「慶應SDM」と表記)の研究者でもある。で、何の研究をしているのか⁉️ なんと「孤独」の研究なのだ。  「孤独は万病の元であり、病はコストを生む」――という問題意識から全一人暮らし世帯の55%が高齢化する2040年に向けて現前化する「社会的孤独」をどう乗り越えるかについて、これまたなんと! ご近所さんとの夕飯をいっしょに食べるという「隣で晩ごはん」なるユニークな社会的実践と研究をしてしまったというアクティブなリサーチャーなのだ‼️ しかもそこで書き上げた論文は、なんとなんと慶應SDMの首席論文となってしまったという「才媛」でもある。その佐竹さんにコロナ禍における「一個人」としての暮らしをうかがった。 この記事の写真はこちら ◼︎コロナ禍で生活はどう変わったのか――――佐竹 麗  この春に上梓した修士論文【脚注(1)】では、主催者がごはんを振る舞うことを起点とした、近隣住民間の互恵的な関係構築を促す仕組みを提案した。そんな経緯があったので、コロナ禍でのご近所さんとの交流の変化はとても興味深かった【脚注(2)】。  主宰する地元の小さなジョギングクラブでは、在宅勤務化に伴い回数を増やしたいとの声があがった。負担にならないか心配したが、感染リスクに配慮しながら毎週末走ることにした。  結果的に週末のジョギングを通じたご近所さんのひととき、穏やかな日常を取り戻す得難い機会となった。  また、お隣のご家族とは、この機会にと連絡先を交換した。ある日焼きたてのスコーンのお裾分けを持ってくと、お子さんたちが満面の笑みで出迎えてくれた。ほっこりと心が温まる。  「わざわざ人と会う」ことがかつてないほど特別な贅沢になった今、ふらりと会うことができるご近所さんの存在のありがたさを、しみじみと感じた瞬間だった。  もちろん家族の生活も変わった。  夫は在宅メインになり、京都で大学生生活を送るはずだった娘は今も東京の自宅でオンライン授業を受けている。  大人も子どももZoomをするから家の中がにぎやかになった。友達と話す娘の姿が以前より格段に見えやすくなって、親としては安心したのが正直なところだ。  新たな日常の中で、ITの恩恵を上手に享受したいと思う。  でも一方で、すぐ近くにある小さな贅沢の扉を開くちょっとした勇気と遊び心とを持ち続けていたい。  そして、そんな思いを抱くまだ見ぬ仲間がきっと少なくないことを、新たな日常を歩き始めた今、改めて心から願っている。 (『一個人』夏号より構成) 【脚注】 (1)佐竹さんの修士論文の正式タイトルは、「都市に住む多忙世代が参加しやすい 近隣住民「一緒に食事」システムの提案 」(2020年3月)。問題意識などは、「慶應SDM」のVOICEで参照できる。http://www.sdm.keio.ac.jp/voice/u_satake.html (2)佐竹さんの研究「実践」活動の一端は『JIBUNマガジン』(自分で、文京。うちのまわりのネットワーク)で参照できる。 「ご近所で夕飯シェア「隣で晩ごはん」を試行/慶応大大学院生ママが研究開発中」https://jibunmedia.org/?p=3308

文:佐竹 麗 写真:慶應SDM

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