【九州場所】琴桜に祖父の故郷・倉吉市から〝猛エール〟 地元は初V熱望「チャンスをものにして」
ゆかりの地から〝猛エール〟だ。大相撲九州場所14日目(23日、福岡国際センター)、大関琴桜(27=佐渡ヶ嶽)が新大関大の里(24=二所ノ関)を上手投げで下して13勝目(1敗)。取組後は「落ち着いてしっかり取れました」と納得の表情を浮かべた。 大関昇進後の3月の春場所まで「琴ノ若」のしこ名で土俵に上がり、夏場所から祖父で元横綱の「琴桜」へ改名。力強い押し相撲から「猛牛」と呼ばれた祖父は5度の優勝を果たし、1974年に引退している。 千秋楽の大関豊昇龍(立浪)との相星決戦を前に、祖父の出身地である鳥取・倉吉市では、琴桜の初Vに大きな期待が高まっている。同市内にある琴桜記念館で説明員を務める宇崎愛さん(37)は「琴桜関の優勝争いで(市内が)盛り上がってきている。大関になってから先場所は8勝どまりで、(ファンの)皆さんは少し心配されていた。今場所はすごく調子が良くて、ここまできたらこのチャンスをものにしてほしい」と初の賜杯獲得を熱望。千秋楽当日は倉吉市の複合施設「打吹回廊」で、パブリックビューイングが開催される。 6月には市内で大関昇進祝賀会が開かれ、佐渡ヶ嶽部屋ファンクラブ「鳥取県桜友会」の会員など約200人が参加。宇崎さんは「琴桜関が鳥取に帰ってきたのは、新十両に昇進した2019年以来だった。今回の祝賀会には(桜友会の)関係者の方やファンの方が集まってくれて、すごくにぎわった。琴桜関はたくさんの方にサインをしたり写真撮影に応じていて、参加した皆さんに楽しんでもらえました」と当日の様子を明かした。 その催しで、琴桜は「先代の名前をこうやって継いで帰ってこられてうれしい。先代の地位に並べるように、これからも精進していきます」と横綱昇進を誓ったという。また、かつての大関昇進後の取材では「琴桜のしこ名(の復活)は50年越しだし、その頃から相撲を見ている人もいる。先代の地元の人にも盛り上がってもらいたい」と熱弁していた。 鳥取にいる〝応援団〟のためにも、千秋楽は絶対に負けられない。
加田晃啓