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次世代バッテリー「リチウム空気電池」に大きな技術的進展

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くるくら

リチウムイオンバッテリー(LIB)よりもさらにエネルギー密度の高いバッテリーの開発を目指し、国内外で研究が進む。国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)が力を入れているバッテリーのひとつが、LIBの数倍から5倍のエネルギー密度を実現できるという「リチウム空気電池」だ。8月には、その実用化に向けて大きな技術的進展があった。 【すべての画像を見る】次世代バッテリー「リチウム空気電池」って何がスゴイ?

 スマートフォン、ノートPC、デジタルカメラなど、さまざまなモバイル機器の稼働時間を大幅に増やし、人々の生活を一変させてきたリチウムイオン電池(LIB)。しかしそんなLIBでも、EVやプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)といった電動車のバッテリーとして利用するには、さらなるパワーアップが必要だ。その理由は、現状の有機電解液系LIBは、1kg当たりのエネルギー容量を表す「エネルギー密度」の値が低いからだ。さまざまな工夫により向上が図られているが、250Wh/kg前後が限界とされ、そろそろ頭打ちといわれている。

航続距離を延ばすと重くなるLIBのジレンマ

 250Wh/kgのバッテリーでは、1回の充電で走れる距離(一充電航続距離)は250~350km程度しかない。ガソリン車と同程度の航続距離を要求するのなら、一充電で少なくとも500kmは走れる必要があるだろう。もちろん、250Wh/kgのバッテリーでも搭載量を増やせば、500km以上の一充電航続距離を実現することは可能だ。実際、海外メーカー製のEVは500km以上の一充電航続距離を実現している車種も少なくない。  しかし、その結果として車重は増加し、さらに車両価格も跳ね上がるという大きなデメリットが生じる。500kmを実現している海外メーカー製のEVは、安価なモデルでも500万円前後するし、1000万円前後の車種も珍しくない。残念ながら、今のところ一充電航続距離が500km以上の普及価格帯のEVは存在しないのだ。  一方、国内メーカーのEVは300万円台、高価なモデルでも400万円台に抑えられているものの、その分一充電航続距離は短めだ。現在、国内メーカー製EVで最長の一充電航続距離を実現しているのは日産「リーフ e+」で、458km。車両価格は下位グレードの「X」で441万1000円となる。やはり500kmに近づけようとすると、車両価格も高めとなってしまうのは避けられないようだ。  そうした現状を受けて、日本では2000年代後半の頃からポストLIBの研究が活発化し、さまざまな研究機関や大学、企業などで開発が進められている。さらには2010年代半ば頃より、「2030年に航続距離500kmかつ普及価格帯」というEVを実現するため、産学官が連携して国家プロジェクトとしてさまざまな方式の次世代バッテリーの研究開発が精力的に進められている。目指しているのは500Wh/kgのエネルギー密度で、それを実現できるとされるバッテリーのひとつが、リチウム空気電池だ。なかでも充電が可能な二次電池タイプのリチウム空気電池は、将来を期待されている技術の一つである。

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