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テレ東・上出遼平Pが手がける「日本一目線が低い」番組の中身――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

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文春オンライン

 次に何をやってくれるのだろう? そんな期待を抱かせる作り手がいる。その筆頭が『ハイパーハードボイルドグルメリポート』シリーズを手がけているプロデューサー・上出遼平だ。ヤバい人たちの食事を撮るという手法で極限のリアルを見せてくれたが、彼が企画・演出した番組はこのシリーズのみだった。 【写真】この記事の写真を見る  上出Pの次の一手が見たい。そんなハードルが高く上がりきった状況で彼が出してきたのは「日本一目線が低いタレントお宅訪問番組」と銘打たれた『電気ネズミとチーズ泥棒』(テレビ東京)だ。内容が一目瞭然なわかりやすい番組タイトルがトレンドの昨今で、まったく意味不明なタイトル。しかも、メインキャストは何をやってくるか予測不能な芸人である野性爆弾のくっきー!だ。その訳がわからなさほど、興味をそそられる。  その内容は、くっきーが操作するラジコン型の陸走ドローン=電気ネズミが、標的となった有名人自身が自宅に隠した「チーズ」を探すというシンプルなもの。制限時間は、ネズミのバッテリーが切れるまでの約30分間。家主は、電気ネズミの捜索を邪魔するために様々な“罠”を仕掛けるという『ホーム・アローン』を思わせるような趣向だ。本やぬいぐるみ、工具、高級なワインなど仕掛けた障害物も、その有名人の個性があらわれる。オタフクのお好みソースで作られた壁にはネズミは体ごと突入。それを操作しながら「めちゃくちゃ楽しいやんけ!」と童心に返ったように笑顔を見せながら、勢い余って後ろの壁に頭をぶつけてしまうくっきー。部屋に「緑のイスに注目」というヒントが書かれているのを見つけ、それを探し出すと、そこには「何もねぇよ。うそ。」という貼り紙。「なめやがって。やってくれたな!」と本気で悔しがったり、バッテリーが切れてゲームオーバーになるとスタッフから「バッテリーの替えが一応ある」「“課金制”なんですけど……」と言われると食い気味に「(お金)出すよ」と即答する。くっきーの前のめり感がとてもいい。  家には、“オシャレ”な靴箱やジャッキー・チェンの映画で有名になったトレーニング機器の木人椿(もくじんとう)、タイガーマスクのマスクなどがあり、それらをもとに家主を予想していくのも楽しい。棚の下に隠れた電気コードなどが見えるのも「日本一目線が低い」番組ならでは。リアルな生活感が垣間見える。チーズを“こっそり”探すという設定はどこまでもファンタジーだが、だからこそリアルが映っている。ネズミが振り返ると不意にチーズが画面にあらわれる発見シーンの“間”も妙に可笑しい。「スゴいテンション上がってる! 恥ずかしい!」と興奮するくっきーも含めて、なかなか見ることがない光景ばかりの不思議な味わいの番組だった。 『電気ネズミとチーズ泥棒』 テレビ東京系 7/20(月)放送 https://www.tv-tokyo.co.jp/denkinezumi/

てれびのスキマ/週刊文春 2020年8月6日号

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