沖縄戦を学び直したきっかけはモデル活動 「青い海」だけじゃない沖縄 SNSで発信する大学生
[戦後77年] 「若い世代が沖縄戦を伝えていかなければ、どんどん風化してしまう」-。沖縄県浦添市のてだこ大使で沖縄大学3年の本村杏珠さん(20)は約1年前に危機感を覚え、沖縄戦に関する投稿を交流サイト(SNS)で発信している。戦跡巡りのフィールドワークに参加した様子をアップするなど、学びながら当時の状況に思いをはせるスタイルを取る。「沖縄戦に限らず、沖縄の歴史や文化を学び直したい人は多いはず。私の投稿が一つのきっかけになれば」と願う。(社会部・下里潤) 【写真】切断された手足「学生さーん、それ煮てくれよ」 動員された17歳少女、想像していた戦争と「違う」 きっかけは昨年春、モデル活動の一環としてオンラインイベントに参加したことだ。県外の人に沖縄のイメージを聞くと、返ってきた答えは「青い海、青い空」ばかり。慰霊の日や基地が集中する現状について詳しく知る人はいなかった。 「県内の同世代はどうだろう」。SNSのアンケート機能を使って約500人に聞くと、多くの人は慰霊の日について知っていたものの、その背景までは答えられなかった。戦争が終わった日と誤認している人もいた。 自身の小中学時代を振り返っても、慰霊の日は「平和ビデオ」を見て感想文を書くことに苦慮したことしか覚えておらず、体験者の話も「怖い」と感じた記憶だけだ。 「沖縄の歴史を知らなければ沖縄の魅力も伝えられない」と自ら学び直す必要性を痛感し、平和に関する勉強会や戦跡巡りなどに参加した。ある講演会で「沖縄戦を経験していなくても私たちは歴史を見つめ直す当事者だ」との言葉に感銘を受け、沖縄戦継承への思いを強くした。 以来、写真を撮影して簡単な解説文や感想を書き、SNSに投稿。てだこ大使でも継承への思いを発信している。「若い世代にとってSNSは身近で手軽な存在。学ぶきっかけを提供すれば自分事として捉える人も多いと思う」と話す。 慰霊の日の23日は同級生4人と一緒に糸満市摩文仁の平和祈念公園を訪れ、平和について考える予定だ。「私たちに何ができるか、まずは行動に移すことが大切だ」と力を込めた。