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軽自動車と侮るなかれ。ホンダ ビートには「スポーツカー」のほぼすべてがここにある──ココロに効くクルマに乗ろう VOL.15

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GQ JAPAN

自動車は走れば何でもいい。そう考える人は多いし、間違いでもない。しかし、自動車の個性が薄くなり、EVやカーシェアリングが普及する「今」だからこそ、クルマに「遊び」や「冒険」を求めたい。伊達軍曹が贈る攻めの自動車選び。第15回は「本格スポーツ」の軽自動車、ホンダビートをお届けしよう。 【写真を見る】今見ても斬新なスポーツカーだ!

「本格スポーツ」の道を歩む、オープンタイプの軽自動車

郊外や地方都市に住まうのであれば話はまったく別だ。しかし東京あるいはそれに準ずる都市に住まう者にとって、「実用」を主たる目的にクルマを所有する意味はさほどない。 そんな状況下で「それでもあえて自家用車を所有する」というのであれば、何らかのアート作品を購入するのに近いスピリットで臨むべきだろう。 すなわち明確な実益だけをそこに求めるのではなく、「己の精神に何らかの良き影響を与える」という薄ぼんやりとした、しかし重要な便益こそを主眼に、都会人のクルマ選びはなされるべきなのだ。 そう考えた場合に強くおすすめしたい選択肢のひとつが、ホンダ ビートという2人乗りの小さなオープンタイプの軽自動車である。 「なんだ、軽か」と馬鹿にしてはいけない。本当に素晴らしいクルマであり、まごうことなき快楽発生装置だ。わたしは今、個人的にもビートが欲しくて欲しくてたまらない状況にいる。 だが筆者のアツい思いをいきなり押し付けても仕方ないため、まずはホンダ ビートというクルマの概略を少々ご説明しよう。 1990年1月に軽自動車規格が改定されると、各社はこぞって新規格に合致する高性能な軽自動車のリリースを開始。そのなかのひとつが、専用設計のミッドシップレイアウト(エンジンを車体中央付近に置き、後輪を駆動させる方式)を採用したピュアスポーツ、1991年発売のホンダ ビートだった。 搭載エンジンは直列3気筒自然吸気のE07A型。これは自然吸気の軽自動車用エンジンとしては唯一、自主規制値であった64psをマークしたユニットで、しかもその最高出力は8100rpmというきわめて高い回転域で発生する。 そのエンジンに組み合わされる変速機は5MTのみ。数を売ろうと考えたなら、AT仕様の追加は必須だったのかもしれない。だがホンダはあえてそこに背を向け、ビートというクルマに「本格スポーツ」の道を歩ませることにしたのだ。 さらにビートのエンジンには、当時のホンダのいわゆるF1テクノロジーも注入された。 ビートは、ターボチャージャーなどの過給器に頼ることなく、ナチュラルで鋭いレスポンスを実現させなければならない。そしてエンジンのサイズ自体が、コンパクトスポーツとしての魅力を損なわない小型かつ軽量なものでなくてはならない。 そういった課題を解決するために選ばれたのが、ホンダのF1テクノロジーを応用したハイレスポンス・エンジンコントロールシステム「MTREC(Multi Throttle Responsive Engine Control system)」を、軽自動車のエンジンに組み込むという策だった。 またこのほかにも、すべてを挙げていくと自動車マニア以外は頭が痛くなること必至の超マニアックな技術がふんだんに投入されたことで、ホンダ ビートの「伝説の超高回転型自然吸気エンジン」は完成した。 その後、残念ながら1996年には生産終了となったホンダ ビートだが、一部の専門店がマニアックなレストア(補修)とメンテナンスを行っているビートに今、この2020年に乗ってみるという体験とは、果たしてどんなものなのか?

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