FUNKY MONKEY BΛBY’S「以前も今も景色は全然変わっていない。『ファンモンが帰ってきたぜ!』って感じがあります」
昨年3月に表記を改め、ファンキー加藤とモン吉という新体制で8年ぶりに動き出したFUNKY MONKEY BΛBY’S。再始動してから、1年と少し。新体制でのツアーも経て、新曲「ROUTE 16」をリリースする2人にインタビュー。再始動してからの心境、新曲についてなどたくさん話を聞きました。 ■歌っている僕らとしては以前も今も景色は全然変わっていない 【写真を見る】再始動してから「一つ一つのステージやお仕事をしっかり噛み締めてるね」とよく話しているという2人 ――昨年3月からファンキー加藤さん、モン吉さんという新体制で8年ぶりに再始動しました。そこから1年と少し経ちましたが、感触としてはいかがですか? 加藤「よく2人で話しているのは、一つ一つのステージやお仕事をしっかり噛み締めてるね、って。以前は今より若かったのもあるし、容量オーバーじゃないですけど、途中で腹を下しながら(笑)、咀嚼せずにドボドボと飲み込み続けていて。でも、今は一つ一つを噛み締めているし、充実してるし、楽しくやらせてもらってます」 モン吉「僕もそうですね。気持ちも体もゆとりを持ちながらできていて。すごくいいですね」 ――お二人の関係性や立ち位置に何か変化は生まれましたか? 加藤「以前よりもいいと思います。やっぱり、忙しすぎると、仲が悪いわけじゃないけど、話すことも少なくなるんです。休憩時間があったら、ひたすら体力回復に努めている日々だったし。今はお互いのプライベートのこともそうだし、さっきなんかは格闘技の話をしてたりもして」 モン吉「お互い大人にもなったし、いい感じになっていると思いますよ」 ――今年2月からは本当に久々となるツアーも開催されました。ライブを重ねることによって、感じることもあったかと思います。 加藤「まず、各地のお客さん、関係者の方と久々の再開ができて、めちゃくちゃ楽しかったですね。あと、驚いたのが『当時はまだ小学生だったんです』とか『ライブに行けずじまいで解散しちゃって悲しかったけど、再始動してくれたので来ることができました』という方がめちゃめちゃ多かったんですよ。それこそ、当時は中学生でお父さんにチケットを買ってもらって一緒に来ていたけど、今は私が社会人になって、お父さんの分のチケットも買って、親孝行として来ましたっていうお手紙をもらったり。それだけの月日が経っていて、ドラマがあるんだなと感慨深くなりました」 モン吉「今までで一番楽しかったです。それこそ、噛み締めながら一つ一つのライブをできたので、どれも印象に残ってます」 ――新体制でのライブということに関してはいかがでしたか? 加藤「ステージに上がれば『ファンモンってこうだったな』と思い出す部分もありました。それに、コロナ禍ってところでマスクをしていたり、声援がなかったりはするんですけど、歌っている僕らとしては以前も今も景色は全然変わってなくて。そこは『ファンモンが帰ってきたぜ!』って感じがありますね」 モン吉「お互い大人になって、いい感じになったと思います。ライブにケミちゃん(DJケミカル)がいる、いないというのはあるんですけど、彼の立ち位置は後ろだったし、何をどうやってたのかも僕らは知らなくて(笑)」 加藤「そう。モン吉とオレは10年近く、後ろでケミカルが何をやっていたのか知らないです(笑)」 モン吉「そういう意味でも景色は変わらないですね(笑)」 ■モン吉に『ゴメンだけど、ちょっと海へ行ってくれ』とお願いして歌詞を書いてもらったり(笑) ――今回、新作としてニューシングル「ROUTE 16」がリリースされます。まず、タイトル曲の「ROUTE 16」は青春時代に仲間と過ごしたかけがえのない夏を歌い、それは今も忘れず続いているんだというメッセージがこめられていますが、どういったコンセプトからスタートしたんですか? 加藤「ファンクラブ用の撮影で、僕らが若いころ頻繁に通っていてお世話にもなり、今の事務所を紹介してくれた恩人でもある横浜CLUB LOGOSの店長に会いに行ったんです。そこで当時の話をしていたらいろんな思い出が蘇ってきて。楽しいだけじゃなく、しんどい思い出も多かったけど、時が経てばそれすらもキラキラしていて。この感じを曲に残したいと思ったんです」 モン吉「トラックに関しては、何曲か候補があって、全部にメロディーをつけてみた結果、いちばん良かったモノをピックアップして作り始めました。ただ、最初はトラックもポップス寄り、自分たちの声もまるっきりポップスだったんで、そこを上手いバランスにしたいなと、詰めていきましたね」 ――ファンモンがこれまで歩んできた物語が投影されている歌詞ですが、お気に入りのフレーズはどこになりますか? モン吉「1番のBメロの歌詞ですね。横浜CLUB LOGOSが思い浮かぶというか、一発であの景色が出てきますから。あと、<何かが終わりそうな気がして いつまでも帰りたくなかった>という花火の描写も好きです。みんなが見てるであろう景色ですから」 加藤「最初、“僕ら寄り”過ぎるかなというところもあって、途中から軌道修正したんです。モン吉に『ゴメンだけど、ちょっと海へ行ってくれ』とお願いして歌詞を書いてもらったり(笑)。やっぱり、自分たちだけの歌になっちゃうと意味がないなと思って。みんなの夏の思い出に寄り添えるというか、思い返してもらえないと」 ■曲の中で壮大に韻を踏みながら上手くラブソングとして落とし込みたいなと思ったんです ――カップリングには恋人への想いをゆったりと歌い上げながら、お互いの間に生まれた隙間にフォーカスしたラブソングならぬ「ラグソング」が収録されています。 加藤「今回、『ROUTE 16』がアップテンポだから、ちょっとゆったり目な曲がいいなと思い、ラブソングをテーマとして考えていたとき、『ラブとラグって響きが似てるし、韻といえば韻だよな』って思い浮かんで。しかも、ラグって2つの意味があるじゃないですか。タイムラグのラグ、ラグマットのラグっていう。そこから、曲の中で壮大に韻を踏みながら上手くラブソングとして落とし込みたいなと思ったんです」 ――『エール』のカップリング曲「今だってI LOVE YOU」はコロナ禍で会えない関係性を歌っていたこともあり、その続きなのかなとも想像しました。 加藤「そういうふうに受け取ってもらえるのなら、それはそれで一つの正解だと思います。僕はそこまで意識してなかったけど、何かモノづくりをする人で、コロナ禍の影響を受けていない人はゼロだと思うし。そういうところがにじみ出ているのかもしれないです」 ――少し新作の内容からはズレるのですが、ファンモンとしての活動が止まっていた間、ヒップホップや韻に対する捉え方も様変わりしました。そのあたりについてはどう考えていますか? モン吉「僕ら、韻を踏んでる方がナチュラルだし、『そこを押し出してもいいんだ!? やったー!」みたいなところはありますね(笑)。それに、当時はメッセージというところが重要視されてた感じがして、今はメッセージも大事だけど気持ちいいところでは韻を踏んだ方がいいだろうな、って。もちろん、曲にもよるんですけどね」 加藤「以前よりも韻を踏んでるっていうところを含めて、ラップを聴いてもらえているような気がしてるので、やっぱりいいな、と。しっかり韻を踏んでラップができることに加え、J-POPや歌謡曲特有のメロディアスなモノも作れる、歌えるというのがファンモンの強みですし」 ■オマージュから本物の顔ジャケになるのも面白いんじゃないか ――毎回、注目される顔ジャケですが、バラエティーでも大活躍中のNMB48の渋谷凪咲さんが登場しています。 加藤「これもまた一つストーリーがあって。以前、NMB48の劇場版CDで、渋谷凪咲さんがファンモンをオマージュした顔ジャケをやっていいですか、というお話をいただいて。僕らとしては特許を取っているわけじゃないし(笑)、そうやって遊んでいただけるならどうぞ、とお伝えしたんです。で、今回の顔ジャケをどうしようかとなったとき、そういえば渋谷凪咲さんがやってくれたよねというところで、逆オファーじゃないけど、オマージュから本物の顔ジャケになるのも面白いんじゃないかとお願いしたら、快く受けてくださいました」 モン吉「曲やMVも雰囲気にも似合うなと思ってますよ」 ――今後に関してですが、まずは各地で開催される大型イベントや夏フェスへの出演が決まっています。 モン吉「まず、当時と変わらない感じでいけたらいいのかなとは思っていて。みんなで一つになるようなライブがしたいですね」 ――それ以降はアルバムへ向けて動き出していくんでしょうか? 加藤「そうですね。アルバムという形には残したいし、やれたらいいなと。まだデモ中のデモですけど、ストックやアイデアもいくつかありますし。そして、また次のツアーですね。それぐらい、ホントに楽しかったんです。みんなで声を出せるようになっていればいいけど…そんな日を願いながら、また皆さんに会いに行ける日まで頑張っていこうと思ってます」