なぜJリーグはJ1「5/9」J2「5/2」J3「4/25」の3段階方式の再開プランを決めたのか?
密接を回避させるために、原則として前後左右をひとつずつ空けて来場者を座らせる形も想定している。必然的に入場者数は減り、収入の二本柱のひとつとなる入場料収入も下がる。スタジアムの収容人員数の50%以下を目指していく、文字通り「痛み」を分かち合う方針を貫いていくからこそ、最も集客力のあるJ1の再開目標をゴールデンウィーク明けに設定したと村井チェアマンは言う。 「年間のシーズンチケットだけで50%ぐらいに到達するクラブもあるなかで、お客様の抜本的な了解を得ながら、通常座る席を動いていただくような協力を要請する努力をしなければいけない。場合によっては払い戻しやチケットの再販売も考えられるなかで、お客様をスタジアムへ迎える上での準備期間がかなり必要だったことが一番大きな理由です」 ホームクラブのファン・サポーターに対しても、新型コロナウイルス対策連絡会議で専門家チームから提言された、例えば大きな声を張りあげるとか、ハイタッチを交わし、あるいは肩を組み合うといった従来の応援とは異なるスタイルを、ファン・サポーターと申し合わせていくことも確認された。 「かなり難易度が高い意思決定でしたが、個々の利害を越えて判断していただいた各クラブの実行委員のみなさまには本当に感謝している」 公式戦再開の延期が公表されるのは、今月12日に続いて2度目となる。オーバーシュート(感染者の爆発的増加)をはじめとする緊急事態が発令された場合は別として、新型コロナウイルス対策連絡会議で得た知見を生かした数々の対策のもとで、サッカー界として独自の判断が下せるという自負を込めて、村井チェアマンは「十分に準備ができる」と最初に迎えるJ3の先行再開を見すえている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)