大学が挑む『タコの陸上完全養殖』実現すれば世界初の研究最前線 けんか防ぐ"マンション"も設置【現場から、】
開発したのが、ソーセージからヒントを得たコラーゲンの膜にイカなどのペーストを入れたエサです。 <東海大学 秋山信彦教授> 「タコは8本腕があって、中心に口があるので、抱え込んで、かじって食べますね。中身をきれいに食べるので、水槽の水も汚れない」 もう1つの課題はタコの性格です。タコは喧嘩しやすく、限られたスペースでたくさん飼育することは難しいとされてきました。そこで東海大学が開発したのが「タコマンション」です。当初、縦に置くとタコはなかなか入りませんでしたが横に置くと… <東海大学 秋山信彦教授> 「こういう状態になったらここに全部入ったんです。それも1匹じゃなくて、2匹3匹入るんですよ。ここに入るとなぜか喧嘩をしない。理由は分からないですけど、これで大量に飼えるようになりました。これは本当不思議です。すごい効果です、びっくりするくらいの」 「タコマンション」によって1つの水槽で100匹近くのタコを飼えるようになりました。 <東海大学 秋山信彦教授> 「今、日本の周りの生き物がすごい減ってしまっていて自然界のものは適正漁獲量を獲ってくる、足りない分は養殖で補う、そういうことでタコに限らずですけど世界中で海の生き物を食べるようになってきましたから、それをまかなえるようになればいいかなと思います」 現在の研究段階では、親ダコは海から捕獲したものですが、完全養殖を実現するためには、親ダコに卵を産ませ、卵から孵化させ、幼生を育てて、再び卵を産ませるサイクルを確立させる必要があります。 現在、東海大学の研究では幼生を大人に育てる段階が課題となっていて、これをクリアすれば、研究は大きく進むということです。私たち日本人が愛する庶民の味の救世主となりうる研究に期待が集まります。
静岡放送