「老老介護」の問題点~共倒れの悲劇を防ぐためのヒントとは~
日本は「超高齢社会」に突入しています。 総務省が公表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、2020年9月15日の時点で、65歳以上の高齢者の人口は約3617万人、総人口に占める割合は28.7%。 高齢者を高齢者が介護する「老老介護」の問題は、そんな社会状況を映し出す鏡であるともいえます。 最近ではよく聞かれるようになった、この「老老介護」という言葉ですが、皆さんは、在宅介護をしている家庭のうち「老老介護」である割合がどれくらいか知っていますか? 厚生労働省が公表した、2019年(令和元年)の「国民生活基礎調査」よると、「介護される側」「介護する側」ともに65歳以上である家庭が、59.7%にも及ぶことがわかっているのです。 そこで、本記事では「老老介護」にフォーカスし、現状や問題点、対策などを解説していきます。
「65歳以上の人がいる世帯」は、全世帯のほぼ半数
先述の「国民生活基礎調査」の結果から、高齢者のいる世帯の構造についてみていきましょう。 65歳以上の者のいる世帯 ・2558万4000世帯(全世帯の49.4%) 世帯構造 ・「夫婦のみの世帯」:827万世帯 ※65歳以上の者のいる世帯で最も多い32.3% 高齢者世帯の世帯構造 ※65歳以上の者のみで構成または18歳未満の未婚の者が加わった世帯 ・「夫婦のみの世帯」:693万8000世帯(高齢者世帯の46.6%) 超高齢社会に突入したことで、65歳以上の者のいる世帯は全世帯の約半数にも及ぶ結果となりました。「夫婦のみの世帯」とともに、年々増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されます。 また、65歳以上で夫婦のみの世帯が約694万世帯存在することから、現在は介護を必要としていなくても、今後は介護が必要となる可能が高い、いわゆる「老老介護」予備軍ともいえる世帯が多いといえるでしょう。
「核家族化の進行」と「老老介護」
要介護者等のいる世帯の世帯構造をみてみると、「核家族世帯(※)」が40.3%と最も多いことがわかりました。 ※「核家族世帯」…夫婦のみ、夫婦と子ども、男親と子ども、女親と子どものいずれかに該当 それでは、ここからは介護者などの詳細をみていきましょう。 主な介護者の状況 ・「要介護者と同居」:54.4% ・「要介護者と別居の家族」:13.6% 「同居」の主な介護者の続柄 ・「配偶者」:23.8%(最も多い) 性別 ・「男」:35.0% ・「女」:65.0% 介護者の年齢階級 ※60歳~69歳が最も多い ・「男」:28.5% ・「女」:31.8% 主な介護者は、「要介護者と同居」をしている人が圧倒的に多い結果となっています。また、配偶者がお世話をしていることが多く、女性の割合が高いことも分かりました。 年齢をみると、60歳~69歳以上である高齢の介護者が最も多く、「老老介護」の現状を示しているといえるでしょう。 要介護者」年齢階級別ごとの組み合わせ ※要介護者等の年齢階級別にみた同居の主な介護者の年齢階級構成割合 ・「60歳以上同士」:74.2% ・「65歳以上同士」:59.7% ・「75歳以上同士」:33.1% 同世代どうしが多いですね。要介護者・介護者ともに高齢者という割合が高く、年々上昇傾向にあります。 とくに、60歳以上同士と65歳以上同士は50%を超え、割合がかなり高くなっています。