自然災害への企業の取り組み、進めている企業は36.9%に
2020年は、九州地方や中部地方を中心とした「令和2年7月豪雨」や台風9号・10号などにより、各地でさまざまな被害が発生した。自然災害に対して、政府は2018年度に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を策定するなど、国土強靭化に力を入れている。また、企業においても、企業防災や地域社会の一員としての考え方など、さまざまな観点からの取り組みが求められている。 そこで、帝国データバンクは、自然災害に対する企業の見解について調査を実施した。
自然災害への対応を進めている企業は36.9%
自然災害への対応状況について、企業の36.9%が『対応を進めている』一方、約6割の企業は『対応を進めていない』(59.1%)という結果となった。自然災害への対応を進めている企業は2019年11月時点から9.9ポイント増加しており、企業の対応が進んできている様子がうかがえた。 規模別でみると、大企業では54.9%が対応を進めている一方、中小企業は33.0%、小規模企業は25.7%と対応状況に差がみられる。また、小規模企業では対応を進めていない企業は69.5%と約7割にのぼっている。企業からは、「必要性は分かっているが、人や時間などに余裕が無く、取り組みが難しい現実がある」(段ボール箱製造)といった声があげられた。
企業防災としての取り組み、「社内連絡網の整備」が61.5%でトップ
企業防災としての具体的な取り組み内容では、「社内連絡網の整備」(61.5%)がトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「非常時向けの備品の購入」(45.4%)、「飲料水、非常食などの備蓄」(42.8%)が4割を超え、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」(33.4%)、「防災・避難訓練の実施」(30.5%)、「ハザードマップの入手」(30.2%)なども高い。 企業からは、「自然災害はいつ起こるかわからないため、やはり社員の安否確認のため、連絡網の整備には力を入れている」(一般貨物自動車運送)や「想像をはるかに超える災害となった場合に対応できるか心配だが、日頃から災害を想定した勤務体制や連絡網を構築している」(化学製品卸売)といった声が聞かれた。 一方で、企業防災の取り組み割合が低い項目では、「地方自治体との連携強化」(7.7%)、「地元企業との関係強化」(4.4%)、「地域住民や学校との関係強化」(2.8%)などがあげられた。自社と他の機関との「共助」における取り組みが、あまり進んでいない結果となった。