江戸時代の指南書に学ぶ 難平(ナンピン)で失敗しないための心掛け
陥りがちな失敗パターン
よくあるのが、実際に自分が買わず、見ていただけの株がどんどん上昇してしまうと、高値でもまだまだ上がると思って買ってしまうケースです。いざ買った途端、これでもかとばかりに上昇していた株が下落に転じてしまうものです。 その後、どんどん下落し、売るに売れなくなってしまうことはよくあります。その際、買値が高いものだから、さらに安く買えば平均買い単価が下がると考え、追加で買ってしまうことがあります。 つまり、自分が高値で買ったことが失敗であるのに、さらに追加で買う。実際に「買い場」であるのかどうかにかかわらず、自分が買った値段より安い、というだけで買ってしまっています。
さらに深手を負うケースも
以前の記事で、「高値覚え」ということを説明しましたが、それ以上に追加で買ってしまうと、損失が倍になってしまうこともあります。だから、注意が必要なのです。 難平が全ていけないのかというと、そうではありません。高値で買ってしまったせいで、十分に値が下がるまで待てず、下落の途中に追加で買ってしまうからダメなのです。十分に下落し、これ以上下がることはないだろうというタイミングなら、難平もまた有効です。 現状のように株価が大きく上昇しているとき、そして急騰しているときにありがちな失敗なので、十分に気を付ける必要があります。
JT株での失敗
江戸時代の米相場の指南書などを見ると、「難平はするべし」というものと「すべきでない」というものがあります。ただ、難平すべきという意見も、難平として追加で買うというよりは、買い場が来て買うべきものがたまたま以前に高値で買い、放置していた銘柄だったという理由です。 実際に私も長い投資経験で、大失敗だったものもありますが、長期保有の場合は案外成功しているケースが多いです。 例えば、日本たばこ産業の株です。この銘柄は配当が非常に多いことで有名なのですが、配当利回りが7%ということで、まず2200円水準で買ったのですが、どんどん下がってしまい。2000円を割り込んでしまいました。 そこで一旦反発しそうだったので追加で買ったものの、ついに1800円まで下落。結局、現在は2100円台まで戻したことで事なきを得ましたが、一時はヒヤリとしたものです。
ナンピンするならこのやり方で
実際に2000円で難平をするとしても、1800円から戻す過程で買うというやり方がベストだったと思います。そうすればおそらく1900円あたりで買うこともできました。大きな失敗ではないですし、「結果オーライ」ですが、ちょっとした失敗でした。 繰り返しになりますが、難平するならば、安くなったから買うのではなく、追加で買うタイミングだから買う、ということを心掛けた方がいいと思います。そうしないと大失敗につながり、大きな金額を塩漬けにしてしまうか、損失となってしまいます。 まさに、「素寒貧(すかんぴん)」になってしまうのです。
清水洋介(フィナンシャルコンシェルジュ)