きみは「顧客を笑顔にする」仕事ができているか CDベイビー創業者が直伝「記憶に残るサービス」
どんな些細なやり方であれ、人を笑顔にさせることができたら、その人はそのことであなたを覚えてくれるだろう。 【写真で見る】伝説の起業家が教える「思考の解像度」を高める方法 ■残り時間をカウントして表示 僕が創業した会社、CDベイビーでも、ちょっとした工夫が大きな違いをもたらしたケースがいくつもあった。 CDベイビーでは、顧客から注文が入ると、毎日午後5時に、オレゴン州ポートランドにある倉庫から、FedExでCDを発送していた。 そのため、時差のある地域からは、「いまそちらは何時ですか? 今日の発送にはまだ間に合いますか?」という問い合わせの電話がよくかかってきていた。
そこで僕は、コードを2行だけ書き足し、午後5時までの残り時間をカウントして、ウェブ画面に表示するようにした。「次のFedExの発送時間まで、あと5時間18分です」といった具合だ。 これは顧客に大好評だった。 また、CDベイビーでは「顧客からの電話には2コール以内に出ること」を目標にしていた。 一年中、午前7時から午後10時の営業時間中、ずっとだ。 カスタマー・サービスの担当者が忙しい場合は、倉庫のスタッフが対応できるように、社内のいろんな場所に電話機を設置していた。
受話器を取ったら、ひと言目に「CDベイビーです!」と言うのが決まりだった。これも顧客に大好評だった! こんな電話対応をする会社は、なかなかない。 のちに業界のイベントで会ったミュージシャンたちから、CDベイビーを選んだ主な理由は、「いつでも、すぐに、本物の人間と話せること」だったとよく言われた。 CDベイビーの従業員は、特別に忙しくなければ、電話をかけてきた相手のことを知るために会話をしてもいいことになっていた。そのミュージシャンがどんな音楽をやっているかとか、現在の状況を尋ねるのだ。
それが20分間もの長電話になることもあった。でも、そういう経験をしたミュージシャンは、その後もずっとCDベイビーの忠実なファンになってくれた。 ■CDベイビーは〇〇が大好きです メールを送信すると、誰から送信されたのかを示すための「From:(送信元)」情報が必ず受信者に表示されるようになっている。顧客を笑顔にするために、これも活用した。 コードを1行書き換えるだけで、CDベイビーからの送信メールには、「From:」の代わりに「CDベイビーは〇〇が大好きです」と表示されるようにカスタマイズできた。