「『普通の子になった』って言われるのが怖かった」タレント・井上咲楽が語る、トレードマークの“ゲジゲジ眉毛”を剃ったワケ
眉毛>井上咲楽…誰にもわからない眉毛へのコンプレックス
街を歩いていると私を見かけた人が「なんだっけ、あの子。眉毛が太い」と言うやりとりが聴こえてくる。 井上咲楽という名前よりも、眉毛で先に世の中に知ってもらえたわけだ。 ダンスも歌もできない、面白いことも言えない。周りには「眉毛だけで呼ばれているんだろうな、この人」と思われているんだろうな……と恥ずかしかった。事実として、自分は眉毛のおかげで仕事をもらえているし、バラエティ番組でトークがうまくいかない時も「眉毛イジり」が間を埋めてくれる。 自分が実際にテレビ番組に出ている回数に比べて、いろんな人から「観ているよ」と言われる回数のギャップが大きすぎて、次第に世の中をだましている気持ちにもなっていた。 人の印象に残るのはタレントとしてすごくラッキーでありがたい話だ。 ただ、「眉毛>井上咲楽」という状況になっていることに対して、私は自分の眉毛にコンプレックスを抱くようになっていた。太い眉毛が嫌だったのではなく、眉毛に付属する井上咲楽みたいな関係性をどうにかしたかったのだ。 そこに「眉毛を剃りませんか?」という話があった。 仕事に停滞感を覚え、自分の眉毛にモヤモヤしているくらいなら、剃ることで何か変わるんじゃないか? そう思った。 ゲジゲジ眉毛を剃って変身したという話題があることで、例えば1ヶ月、2ヶ月の期間限定であったとしても仕事がめちゃくちゃ増えるなら、賭けてみたい。もしその後、バーンと出演依頼がなくなったとしても、一瞬でも移動中しか寝る時間がないみたいな忙しさを味わってみたい。 そうなる可能性があるなら、剃ってみよう。 私はそんなふうに脳内会議を繰り広げていた。
普通って言われるのが、何よりも怖い
一方で、眉毛を剃ることへの不安ももちろんあった。 ここまで読んでくださった人には隠しようもないけれど、陽キャか陰キャかで言えば、私は完全に後者だ。それが芸能界では、ゲジゲジ眉毛に2つ団子頭、派手な衣装をトレードマークにデビューした。しかも15歳で。 その子がモジモジして、人見知りで、暗かったら、誰もが扱いに困るはずだ。 だから、空回りするくらい元気で、明るいキャラクターの井上咲楽になった。この眉毛、この髪型なんだから、陽キャじゃないとねと思っていたのだ。 でも、眉毛を剃ったら、トレードマークがなくなる。 陽キャでいる必要がなくなったら、きっと陰キャな面が表に出てくるだろう。そしたら「なんかあの子、眉毛を剃ったら普通の子になったな」と言われるのではないか? 私は、普通って言われるのが本当に怖かった。