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Amazonの“転売ヤー”をブラックリスト化するツール、開発者に経緯や狙いを聞いた

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 Amazonマーケットプレイスの"転売ヤー"をブラックリスト化できるツールがネット上で話題だ。9月21日に公開されるとTwitterで反響を呼び、「アマゾン転売屋ブラックリスト」が一時トレンド入りした。ツールを開発したのはフリーエンジニアの秀さん(@jackpot__hide)。Twitterで“開発宣言”をした後、子供が寝た深夜の時間帯を使い、実働わずか6時間で完成させた。秀さんはなぜこのツールを作ったのか。 【画像】画面上に「転売ヤー」と表示される(出典:秀さんのnote)  秀さんはこのツールをブックマークレットとして提供している。ユーザーは「アマゾン転売屋チェッカー」をブラウザのブックマークに登録後、Amazon.co.jp上で同ツールを起動し、高額出品している販売元をクリックすると、悪質な業者をリストに登録できる。リストに登録された業者は、Amazon上に「転売ヤー」と表示される。現時点ではAmazonのみに対応している。  リストには、Amazonが出品者に付与する「セラーID」が登録されるので、出品者が名前を変えても対応可能。同じIDの業者が出品する全商品に「転売ヤー」と表示できる。  リストを作ったユーザーは、自身のリストをツイートし、他のTwitterユーザーに共有することも可能。受け取った側は、Amazonのトップページでツールを起動し、10桁の「ブラックリストコード」を入力するとリストを利用できる。他のユーザーが作成したリストに転売ヤーを追加し、リストを強化できる機能も持つ。  秀さんは「フォロワー数が多く、影響力が強いインフルエンサーが共有すると、ツールはさらに威力を発揮する」と話す。  秀さんがツールを作ることにしたきっかけは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が「PlayStation 5」(PS5)の予約販売を始めた9月18日頃に、PS5を30万~50万円で出品する業者がAmazonマーケットプレイスに相次いで現れたことだ。  これを受けてTwitterでは怒りの声が上がり、高額出品者のリストを自主的に作成するユーザーも出てきた。秀さんも状況を問題視し、とあるTwitterユーザーに「転売業者データベースとか作って、Amazonで買うときに警告出すようなプラグイン作ろうかしら」とリプライ(返信)したところ、すぐに数百の「いいね」が集まった。慌てて「500いいね行ったら作成します」とツイートするも、それもクリア。いいね数は約750件に達した。  反響の大きさから「最初はリプライ自体を消してしまおうかとも考えた」という秀さん。だが「親族が転売業者による買い占めで一時期、マスクを購入できなかったことや、親友が限定プラモデルを買い占められたことを思い出していると、だんだんと転売業者にイライラしてきた」という。  「今年2月にマスクの転売業者と知らずに『ECサイト上のマスクの入荷情報を通知するツールを開発してほしい』と頼まれ、転売行為に加担しかけたこともある。結局、取引は決裂したが、この時の怒りも動機の一つだった」と秀さんは振り返る。  だが、ネット上での支持は広がっているものの、ツールには課題も残されている。秀さんは「ログインした状態でリストを作成し、Twitterで公開した際、悪意のある利用者による個人情報が流出する可能性がゼロとは言えない。リスト作成時はAmazonのマイアカウントからログアウトした状態で作成したほうが、より安全だ」と明かす。  運用面にも課題があり、どの出品者が悪徳かの判断は、個々のユーザーの判断に委ねているのが現状だ。改善に向け、現在は「(客観性を担保するために)Web魚拓へのリンクや、高額出品をしていた際の画像なども合わせて表示する仕組みも検討している」という。  こうした課題はあるが、秀さんは「転売業者にむしゃくしゃしていたので、ツールを公開したことには後悔していない。一定のプラットフォームを作れた」と手応えを示す。今後は仕組みの改善に加えて、新しいツールの開発も進める考えだ。  Amazon側も対応に動いていることから、PS5の高額出品者はAmazonマーケットプレイスから減っている。しかし、中には商品を通常の価格で販売しつつ、送料を隠し、購入後に高額の送料を請求する業者も出てきている。秀さんはそうした業者への対策ツールも作成済みだ。  「Amazon側が対策を何もしないまま悪徳業者を放置していることもある。自分のような外部のエンジニアがツールを開発することで、対策に向けた問題提起にしたい」  とはいえ、今後も長期にわたって開発や改良に取り組むかは分からないという。秀さんは「自分は飽きっぽいので、自由に活用してもらい、より良いツールを作ってほしい」とし、取材した記者にもソースコードを提供してくれた。  秀さんは「多くの人に利用してもらい、最終的には誰かにこのプログラムを引き継いでほしい」と話している。

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