人吉球磨復興へ、テレワーク活用 坂本哲志・地方創生相に聞く
坂本哲志地方創生・少子化対策担当相(衆院熊本3区)は、就任後初の編成となった2021年度政府予算案などについて、熊本日日新聞のインタビューに応じた。昨年7月の豪雨で甚大な被害が出た人吉球磨地域の復興に向け、テレワークや専門知識を持つ人材を活用した活性化策を提言した。一問一答は次の通り。(聞き手、並松昭光) -地方創生関連の予算案のポイントは。 「新型コロナウイルス禍を契機とした地方分散の流れをより確実にするため、『転職なき移住』につながるテレワークを推進する。兼業・副業などによる地方への『知の供給』が狙いだ。若者の東京流出を食い止める地方大学の魅力向上支援も柱。施策を第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂版に盛り込んだ」 -「テレワーク移住」は首都圏近郊にとどまっていませんか。 「地方への『知の供給』を実現できるかが鍵。デジタル技術による事業変革を進めるにも、地方にはデジタルトランスフォーメーション(DX)の専門人材が少ない。テレワークや兼業副業の推進で、地方の企業にアドバイスできる人材を拡充する」
-7月豪雨では、人吉球磨の過疎地で被害が甚大でした。復興に地方創生の視点は不可欠です。 「テレワーク社会では、工場誘致など従来型ではない仕事創出もできる。専門家の知識と球磨焼酎や食など地域の歴史・文化を組み合わせることで新たな価値が生まれ、移住にもつながる。人吉市の産業振興拠点施設『まち・ひと・しごと総合交流館 くまりば』を拠点に、国の支援策を人材育成、情報発信などで活用してほしい」 -就任後、地方創生のこれまでの取り組み事例について検証しました。 「交付金を活用する自治体側にも民間と同様のビジネス感覚が求められるというのが検証結果だ。より実践に即した交付金の認定に生かす」 -少子化対策では不妊治療の保険適用方針が決まり、その間の費用助成制度の拡充が実現した一方で、児童手当は一部で廃止するなど、ちぐはぐな印象です。 「限られた予算の中で、現金給付の部分を見直し、全体的な施策の充実を目指した結果だ。ベビーシッター派遣事業の利用料の割引額を倍増させるほか、従業員の育児休業取得に積極的な中小企業を支援する助成事業を新たに始める」