『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は“IMAX推し”!縦横無尽のアクションを巨大スクリーンで体感
トム・ホランド主演の「スパイダーマン」シリーズ最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、本日よりついに公開。『スパイダーマン:ホームカミング』(17)から始まった本シリーズは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ならではの、クロスオーバーを生かした壮大なドラマが魅力。それを最大限に利用した本作は、最終章の名にふさわしいボリュームの超大作に仕上がった。アクション&スペクタクル満載のヒーロー映画はIMAX向きの題材だが、なかでもスパイダーマンはIMAXと親和性が高いヒーロー。本稿では、IMAXだからこそ味わえる魅力を紹介する。 【写真を見る】ドクター・オクトパスら歴代ヴィランたちの暴れっぷりも、IMAXで臨場感アップ!歴代『スパイダーマン』を振り返る 映画版「スパイダーマン」の歴史が始まったのは、いまから20年前のこと。『スパイダーマン』(02)から『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』まで、これまで8本の実写映画が製作されてきた。まずは、これまでのシリーズを振り返ってみたい。 ■シリーズを追うごとに進化してきた体感的なウェブ・スイング! 初の本格映画化となった『スパイダーマン』は画期的なヒーロー映画だった。それ以前にも「スーパーマン」や「バットマン」、「X-メン」といったヒーローたちが映画化され大成功を収めていたが、『スパイダーマン』がそれらと違っていたのが、体感的な画作りだ。原作の大ファンであるサム・ライミ監督は、映画化にあたってコミックからスパイダーマンを象徴するポーズをセレクトし、それらを実写で再現した。 なかでもクモの糸を次々に放ちビル街を移動していくウェブ・スイングは、スパイダーマンの動きに合わせてカメラも大きくスイング。その姿を真後ろから捉えたショットは、まるでスパイダーマンと一緒に宙を舞っているような一体感が味わえた。ヒーローを“見る”だけでなく“味わえる”アトラクション指向で映画化された「スパイダーマン」は、そのスタート地点から体感的なIMAXと親和性の高いヒーロー映画だったのだ。 マーク・ウェブ監督による『アメイジング・スパイダーマン』(12)では、ヒーロー性を前面に出したライミ版とは違い、よりリアルに寄せたアクションを指向。ウェブ・スイングも実際に人間が行ったらどうなるかをシミュレートし、可能な限りスタントマンで撮影するなど、リアリティを追求した。といってもそれは大人しい描写にするためではなく、実際に宙を舞った時の高揚感や恐怖を映像として再現するため。ライミ版とはまた違うアプローチで、“味わえる”快感は引き継がれたのだ。 この作品はIMAXデジタルフォーマットを採用し、スパイダーマンがウェブ・スイングしながらオズコープ社まで移動するシーンで、画面の上下が広がり視界が開ける心憎い仕掛けを採用。3Dカメラによるデジタル3Dも導入され、ヒーロー映画で3Dをどう生かすべきか、ウェブ監督がジェームズ・キャメロン監督にレクチャーを受けたことでも注目を浴びた。 そしてジョン・ワッツ監督による『スパイダーマン:ホームカミング』に始まる最新シリーズでは、映画「スパイダーマン」史上もっとも若く、何色にも染まっていないピーター・パーカー(トム・ホランド)が誕生。新生スパイダーマンは、スターク・インダストリーズ製のハイテクスーツを身にまとって超絶アクションを見せる一方、着地でふらつくなどの危なっかしいビギナー感も織り交ぜてスリルを盛り上げた。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19)では、MJ(ゼンデイヤ)を抱きかかえウェブ・スイングで空中デートをする姿が描かれたが、ロマンチックとはほど遠い、ジェットコースター並みのスピード感だった。ちなみに『ノー・ウェイ・ホーム』では冒頭によく似たシチュエーションが登場するので見比べるのもおもしろい。 ■アップグレードされたヴィランたちの暴れっぷりは臨場感“MAX”に! 『ノー・ウェイ・ホーム』は、前作『ファー・フロム・ホーム』のラストシーンから幕を開ける。ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)の陰謀で、スパイダーマンが悪党だというフェイクニュースと共に、その正体がピーターであることがニュースで報じられる。切羽詰まったピーターは、みんながスパイダーマンの正体を忘れる呪文をドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)に依頼。ところが呪文は失敗し、その影響で別の世界からヴィランが次から次にやってくることに。 本作でまず注目すべきは、続々と集結してくる歴代ヴィランたち。ライミ版からグリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、サンドマン。ウェブ版からはリザードとエレクトロと、かつての宿敵たちが現れるのだが、ライミ版やウェブ版をマルチバースに組み込むというユニークな発想に、まず脱帽する。彼らは今後のMCUにも絡んでくるのか、興味は尽きないが、それにしてもヴィランがずらり集まったさまを眺めると、改めて個性派ぞろいだと思い知らされる。 かつての名キャラたちが、より密度の高い映像で味わえるのもお楽しみポイント。復活したヴィラン軍団の暴れっぷりは、IMAXの巨大スクリーンで体感すると怖いほどの臨場感。ドクター・オクトパスやリザードなどパワー系のヴィランも大迫力だが、放電音を響かせて宙を舞うエレクトロの不気味さもIMAXの立体的なサウンドで味わうと格別だ。「スパイダーマン」シリーズが歩んできた20年の間に、映像テクノロジーは大きく進化しており、特にライミ版のヴィランたちは、最新のCG技術でかなりのグレードアップを果たしている。 そんな本作の画作りで印象的なのが、長回しのロングショット。カメラを自由自在に振りながら、スパイダーマンとヴィランたちのバトルをひと続きで見せる演出はIMAXに最適。まるでバトルのなかに入り込んだかのような没入感が味わえる。 ■“IMAX映え”必至!ドクター・ストレンジの異次元空間 MCUの主要キャラが重要なポジションで登場してきた本シリーズ。第1作のアイアンマン/トニー・スターク、第2作のニック・フューリーに続き、今作ではドクター・ストレンジがキーマンを務めている。そんな彼がスペクタクルを巻き起こす舞台が、現実世界をベースにした超空間“ミラー次元”だ。ピーターはマルチバースをめぐってドクター・ストレンジと対立してしまい、両者はミラー次元で攻防戦を繰り広げる。視界いっぱいに広がるスクリーンで、次から次に建物や列車が変形していく驚異の異次元空間を、実感を伴って体感できるのもIMAXならではだ。 なお本作は、IMAXシアターでのみ通常スクリーンと比べて全編“最大26%増”の映像で上映されることが決定しており、「スパイダーマン」シリーズ映画では初めてのこととなるそうだ。ただスクリーンが大きいということに留まらず、これまで観えていなかった部分まで観ることが出来るのは、この上ない“IMAX推し”ポイントと言えよう。 まばたき厳禁のクライマックスバトルはもちろん、胸を熱くする物語も大スクリーンなら感動倍増。シリーズ最後を飾るスパイダーマンの姿を、ぜひIMAXシアターで体感してほしい! 文/神武団四郎