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新型コロナウイルスは、HIVウイルスのように免疫系を破壊する? その鍵は「T細胞」が握っている

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WIRED.jp

新型コロナウイルス(正式名称は「SARS-CoV-2」)に感染した患者の重症化の原因のひとつとして、免疫系の暴走である「サイトカインストーム」が挙げられている。そのメカニズムの一部が見えてきた。 新型コロナウイルスのワクチンは、いつできる? 基礎から最新事例まで「知っておくべきこと」 なぜ免疫システムが暴走するのか。そしてなぜ高齢者や肥満の人に多いのか。その秘密は、病原体と闘う免疫細胞と、異物を排除するために免疫細胞を活性化させる信号「サイトカイン」の食い違いによるものかもしれない。 複数の研究機関によると、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の患者の血液内で、白血球の一種であるリンパ球の劇的な減少がみられることがわかってきた。その理由のひとつに、新型コロナウイルスがリンパ球の70~80パーセントを占める「T細胞」に感染し、破壊する可能性が挙げられている。 T細胞は新型コロナウイルスの“侵略”を受けて数が減り続け、ついには免疫システムのコントロールが効かなくなってしまう。その末に、患者を死に至らしめる「サイトカインストーム」が起きるのだ。 ヒトの免疫システムに代表される白血球には、ナチュラルキラー細胞やT細胞と呼ばれるリンパ球がある。ナチュラルキラー細胞は、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃して排除する。T細胞となる前の前駆細胞は、「胸腺」と呼ばれる臓器の中で自分自身の細胞を攻撃しないように“訓練”を受け、いくつかの型に分化する。 こうしてつくられたT細胞のなかでも代表的なものが、ウイルス、がん細胞、移植された臓器の細胞といった体にとって異物と認識されたものを破壊する「キラーT細胞(CD8+T)」と、病原体認識シグナルを送って免疫細胞を活性化させる「ヘルパーT細胞(CD4+T)」だ。

COVID-19患者はT細胞の数が激減

学術誌『Infectious Diseases』に掲載された論文によると、COVID-19患者の血液のなかでは、総T細胞数(CD3+T)、ヘルパーT細胞(CD4+T)、キラーT細胞(CD8+T)、ナチュラルキラー細胞が有意に減少することがわかった。注目すべきは、ヘルパーT細胞の減少は比較的ゆるやかだったが、キラーT細胞のほうは著しく減少したことである。 また、COVID-19患者において「ヘルパーT細胞(CD4+T)/キラーT細胞(CD8+T)」の比率が著しく上昇したことから、キラーT細胞のほうがより新型コロナウイルスに影響されやすいものと考えられている。つまり、COVID-19を発症すると、ウイルスに対抗するはずの“免疫の戦士”の数がどんどん減ってしまうのだ。

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