高まる海外人気も「日本のファン大事に」 相撲協会100周年 八角理事長に聞く(上)
日本相撲協会が財団法人となって令和7年で100周年を迎えた。日本の国技として長く継承されてきた大相撲。近年は海外人気が高まる一方で、少子化やスポーツの多様化などの影響もあり力士数の減少が問題となっている。伝統文化の「現在地」と「次の100年」について、相撲協会の八角理事長(61)=元横綱北勝海=に聞いた。一問一答は以下の通り。 【写真】師匠の北の富士勝昭さんが見守るなか、大相撲秋場所で優勝しタイを手に笑顔の横綱北勝海(現八角理事長) ■基本は土俵の充実 ――財団法人として100周年を迎えました 「すごいことだなと思いますね。先輩たちが残してくれたものを受け継いできた。新しいことを始めるより変わらず守っていくことは、どれだけ大変か。大相撲は競技というより伝統文化の(色合いの)方も強い。守ってきているわけですから、神事ということで」 ――節目となる令和7年は記念事業も計画されているそうですね 「協会員が着ているジャンパーも100周年記念仕様の物を(ユニクロと)コラボレーションして作りました。イベントは(財団法人化した)12月。10月にはロンドン公演をやります。元々は(会場となる)ロイヤル・アルバート・ホールの150周年記念でやりたかったんだけど、コロナ禍で延びていた」 ――昨年は全6場所90日間「札止め(チケット完売)」と盛況でした。要因をどう分析されますか? 「相撲内容だと思いますね。やはり基本は土俵の充実ですから。大の里や尊富士が出てきたり、九州場所の千秋楽で1敗同士の大関の対戦があったり、横綱照ノ富士の復活の優勝があったり。本当に力士たちはよく頑張ってくれています。親方衆も頑張ってくれている。みんなの力でようやく回復してきたのかなと思っていますね」 ――館内では海外からのお客さんも多く、海外人気が上がっているように感じます 「非常にそう思います。稽古場にも連日たくさんのお客さんが来ますよね。本場所ではなく稽古を見たいと。日本の文化は何かと問われたら大相撲だといわれたいから海外には発信したい。ただ、日本のファンの方を大事にしていきたい。日本のファンに守られてきている大相撲ですから。様式美を含めて大相撲。呼び出しが呼び上げるところも、行司が裁くところも、床山が結う大銀杏も見てほしい」 ■課題は新弟子確保