新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの? 感染管理の専門家に聞きました
新型コロナウイルス(COVID-19) 、不安でたまらないのに医療機関に行っても検査をしてくれないという不満の声があちこちから聞こえてきます。なぜ医師は検査をしてくれないのか、そもそもその検査に意味はあるのか、感染対策のプロである聖路加国際病院、QIセンター感染管理室マネジャーの坂本史衣さんに一から教えていただきました。※インタビューは25日から26日午前にかけてメールとスカイプを使って行い、その時点の情報に基づいています。【BuzzFeed Japan Medical/岩永直子】
そもそもどんな検査なの?
ーー新型コロナウイルスが流行し始めてから、「PCR検査」という言葉をよく耳にするようになりました。どんな検査か教えていただけますか? 患者さんから採取した検体(鼻やのどを綿棒で拭った液)のなかに新型コロナウイルスの遺伝子があることを、遺伝子を増幅させることで確認する検査です。 ーーどこで検査しているのですか? 厚生労働省によれば「これまで、国立感染症研究所や検疫所だけでなく、地方衛生研究所、民間検査会社や大学などの協力を得ながら、令和2年2月18日時点で1日3,000件を上回る検査体制を維持・獲得してきました」となっています。 大学病院など設備が整っているところは病院で検査が可能ですが、全ての病院で検査ができるようになっているわけではありません。民間の検査会社も厚労省からの依頼で検査を受けつけているので、病院から直接依頼はできません。 ーー結果が出るまでどれぐらい時間がかかると言われているのでしょうか? 現在病院でPCR検査を行うことはできないので、医師が検査が必要と判断したら、保健所に書面と電話で依頼し、必要と認められれば保健所が病院に検体を取りに来て、検査センターまで運び、そこから検査が始まることになります。 現在活用されている「リアルタイム RT-PCR」という方法では、検査自体は5~6時間かかります。 検査自体の所要時間は約5時間ですが、検体の受け取りから結果の報告までにそれ以上の時間がかかるため、当日中に結果が出ることは稀です。 結果の判明について厚労省は「結果が判明するまでの期間は状況によりますが、1日から数日かかります。」と言っています。その通りであると思います。 また、一度に多数の検体が検査センターに搬入されると待ち時間がさらに長くなり、結果報告までに2日ほどかかることもあります。そのため、検査をすることになった患者さんの多くは、軽症でも入院を必要とすることになります。 ーー検査は高額と言われていますが、どれぐらいかかるものなのでしょうか? 行政検査として行う場合に患者さんや病院への費用負担は生じません。実際に人件費や材料費を合わせてどの程度の費用がかかっているのかは明らかにされていません。