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尾道のラーメン新潮流 タイでだし取り、ペペロンチーノ風も

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中国新聞デジタル

 広島県尾道市に根付く「尾道ラーメン」のけん引役として市民や観光客に愛された「朱華園」が事実上閉店し、19日で1年になった。先駆者なき今、ブームの中で出店した新興組は味やメニューで個性を打ち出そうとする。一方、新機軸の店もじわり評価を上げている。尾道のラーメン文化はどこへ向かうのか。  新興組として存在感を示すのが、2016年開業の「尾道ラーメン丸ぼし」だ。豚の背脂入りしょうゆ味スープに平打ち麺というスタイルは、一見するとオーソドックス。しかし、タイの煮干しでだしを取るなど魚介風味を前面に出す。福山市で飲食店を手掛ける有限会社が出店した。佐藤光正社長(47)は「独自の味で勝負に出た」。  JR尾道駅近くに18年、約30年ぶりに復活した「日乃出食堂」。店主の田口栄治さん(72)は、祖父の時代になかった尾道ラーメンを軸にする。ニンニクや唐辛子、豚の背脂などを炒めて入れたペペロンチーノ風も人気を集める。  両店が意識するのは、各店に並ぶ観光客だ。田口さんは「尾道ラーメンを掲げなければ取り込めない。その中で、個性もどう出していくかが勝負」という。  尾道ラーメンは、戦後間もない1947年ごろから朱華園が屋台で出した中華そばが源流とされる。90年代以降は全国区となり、尾道の観光地化に伴って中心部に店が増えていった。  ところが、近年は全く違う系統の出店も相次ぐ。  昨年開いた「尾道家系ラーメン 轟(とどろき)や」は、関東発の家系ラーメン。府中市出身で東京で修行した大江由次さん(51)の味は、市民を中心に徐々に固定客をつかむ。17年に開業した鮮魚系の「オノミチ潮ラーメン でんやす」は人気が高じて店を畳み、東京へ進出した。  尾道観光協会によると、市中心部でラーメンを出すのは約40店。うち約6割が尾道ラーメン系という。  広島の食文化を研究し、著書もあるシャオヘイさん=広島市西区=は「ラーメン店は本来、新陳代謝が激しい。朱華園が一番であり続けたことが特異で、新しいタイプの店が増えるのは自然」とみる。観光客は今、新型コロナウイルスの影響で激減している。「元祖の店あってこその尾道ラーメン文化でもあった。今後も残っていくには地元の住民に食べられ続けられることが大切」と指摘する。

中国新聞社

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