気の毒なリポビタンD……本当は炎上してなかったのに「非実在型ネット炎上」の餌食に!
実はネット炎上していなかった
とはいえ今回の騒動、実はよくある「一部クレーマーによるネット炎上」ではなくて、 「非実在型ネット炎上」 と呼ばれる看過できないタイプの炎上だったんです。 本件はメディアが取り上げたことで一気に認知されたんですが、報じられる前はごく一部の限られた人たちによる批判のみ、燃え広がる兆候も見られませんでした。 実際、散発的な殴り合い程度しか起きてなかったんですよ。炎上と呼ぶには火力不足、つまり炎上を起こせるほどの賛同者がいなかったんですが…… メディアがこの「一部批判」を報じた瞬間、あたかも大勢がこの広告に怒っているかのように伝わってしまい、それに対する反発が起こり、注目も集まり、他のメディアも後追いで報じたことで、この事案が「ネット上でリポDに対する炎上が起きているんだ」という世間の認知を獲得してしまったのです。 実は起きてなかったネット炎上。お気の毒な……まあ発端となったメディア記事は「SNSで批判意見が上がっている」程度の表記だったので、さほど悪意は無かったと思います。 でもこういうの繰り返していくと、やがて広告表現そのものが委縮し、広告出稿が意味を持たなくなる。メディアが自分の首を絞める行為でもあるのです。 今回、大正製薬の広報さんは努めてクールに対処しましたが、あの言い方だとクレーマーには全く響かないので、 「そういう解釈される方がいるんですね、多様性ですね」 くらいスカしたコメントでも良かったのでは。あの界隈、相手にされないと分かるとすぐ諦めて、他のターゲットを探し始めるので……。 Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員) ※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。
小木曽 健