「裏方」としてメジャーリーグで活躍、ダルビッシュ投手たちを支える日本人がいる
ダルビッシュ有投手が所属する米大リーグのサンディエゴ・パドレスで、裏方として選手を支える京都府与謝野町ゆかりの日本人がいる。トレーニングやコンディション調整分野のコーチを務める内藤良亮さん(40)。「マウンドなどで躍動する選手の姿を見るのが何より喜び」と、選手の成長や向上につながる仕事のやりがいを語る。 【写真】ワイルドカード突破、子どもと喜ぶ内藤さん 内藤さんは大阪府生まれで、小学3年の時に旧岩滝町に転居。少年野球クラブでは、3学年上の元阪神タイガースの糸井嘉男さんと一緒にプレーした。橋立中でも野球に打ち込み、1999年の選抜で甲子園に出場した峰山高校に入学した。 同高校ではプロ入りを見据え、3年時にスポーツ推薦で大学を目指したが、かなわなかった。母の知人から「野球に携わりたいなら米国でトレーナーの道もある」と勧められたことが転機になり「大リーグでやりたい」と新たな夢を抱いた。 渡米後、英語の勉強に励み、オレゴン州の短大へ。トライアウトを経て野球部に入部すると、道具を投げたり、ガムをかんだりしながらプレーする姿を目にカルチャーショックを受けた。 大学院まで計6年間学び、身体とホルモンの関係や、骨と筋肉の使い方などの知識を身に付け、大リーグ傘下のチームで実践経験も積んだ。大学院修了後は指導教授の紹介で、2011年に大リーグ・オリオールズに入団。22年にはパドレスに移り、昨季まで若手の育成に携わった。選手の体の動きをより速く、強くしてメジャーの舞台で活躍するための土台づくりを目指した。 選手と接する際は「今の体の動きでどれくらいの力を発揮できているか」や、ダッシュのスピードなどを数値化し、個別の練習を組み立てた。「若手の成長が目に見えることが面白い」という。 今季はメジャー担当に昇格し、ダルビッシュ投手らをサポートした。自己流の調整方法を持つ選手も多く、状態や希望を聞いてメニューをつくる。「成功している選手にはギブ・アンド・テイクが大切」と、マイナーとの違いを語る。 若くして海を渡ったことを振り返り「常に意志を持って諦めずにいれば、道は開ける」と笑顔を見せた。