三菱重工爆破事件から50年、容疑者2人は「超法規的措置」で現在も逃亡… 事件現場の今
警視庁「現在も捜査中」
事件から50年が過ぎるなか、逃亡中の佐々木容疑者と大道寺容疑者の逮捕は望めないのだろうか。 現在の捜査状況や、両容疑者が桐島容疑者同様、国内で逃亡・潜伏している可能性について、警視庁に問い合わせたところ「捜査中の事件なので回答できない」とのことだった。 ただ、事件解決に向けた情報提供は呼びかけており、警視庁の担当者は「『よく似た人を知っている』、『電車やバスなどでみかけた』といったささいな情報でもいいので、交番や警察署に伝えてほしい」と話した。
被害者に生じた不均衡、支援制度のきっかけに
三菱重工ビル爆破事件をきっかけに、変化したことがある。 当時、勤務中であった被害者には労災が給付されたが、たまたま事件に居合わせた人は補償を受けることができず、被害者の間で不均衡が生じた。 このことが議論を呼び、国は1980年に初めて、犯罪被害者救済を目的とした犯罪被害者等給付金支給法を制定。 その後も犯罪被害者等基本法や、同法に基づいた第1次から第4次までの「犯罪被害者等基本計画」などを通じて、犯罪被害者支援の拡充がはかられている。最近でも今年6月に、犯罪被害給付金の引き上げが行われた。
50年後の“現場”付近には外国人観光客の姿
三菱重工は2003年に本社を移転したが、ビル自体は現存している。現在「丸の内二丁目ビル」に名前を変え、複数のテナントが入居している。 通りに面した1階部分には、カフェや服飾店などが並び、隣接する三菱ビルの前には観光バスを待つ外国人観光客の姿も見られ、事件から50年がたった今、当時の悲惨な状況を想起させるものは残っていない。 “真の事件解決”のためにも、容疑者2人の逮捕にあらゆる手段が尽くされることを強く願う。
弁護士JP編集部