今夜ゴング!村田諒太が“最強”ゴロフキンを倒す“埼玉の奇跡“は起きるのか…「過去最高の出来。考え抜いた作戦がある」
村田は公開練習で「1ラウンド勝負」「インファイト勝負」を宣言したが、自分の動きを読まれる前に勝負をかけ、また動きを読まれた場合は、それをフェイントに使い、もうひとつ相手の上をいくことが必要なのだ。 村田の動体視力トレーニングを指導してきた元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏も、「ゴロフキンがどう出てくるかによるが、村田のパンチや動きに対応してくる前にダメージを与えるか、あるいは相手の想像を超えたケンカ殺法で、最初に一撃を与えるしかない。ジャブの差し合いでは勝てないだろうから入り方を工夫して右ストレートとボディを当てることができるかどうかだと思う」と帝拳陣営と同じ見立てをしていた。 3月1日からホテル生活に入った村田は「空いている時間は本を読んでいるか、ゴロフキンの過去の映像を見てるかですよ」と語っていた。本田会長が驚くほど研究を重ねた村田は、その幾通りものシミュレーションをスパーで磨いてきた。 ブックメーカー「ウイリアムヒル」のオッズはゴロフキンが1.18倍で村田が4.50倍となっている。ゴロフキンが披露した肉体の影響かどうかわからないが、10日前のオッズより、わずか0.02ではあるが、ゴロフキンの勝利オッズが上がった。村田が不利であることは間違いない。だが、村田は何かを起こす…“持っている男”なのだ。 1万6000人の来場が予定されている会場には、村田に“奇跡の風”を送ろうと、愛する人たちがやってくる。VIPも続々と来場予定。ボクシングを題材にした映画「キッズ・リターン」を撮るなど、大のボクシングマニアで知られ、村田とも対談して「応援団長」を務めたことのあるビートたけし氏や、ロンドン五輪で共にメダルを獲得したスポーツ庁の室伏広治長官らも駆け付けて村田に風を送る。村田が心の居場所とする母校の南京都高校(現・京都廣学館高校)ボクシング部のOBが中心となって作られた村田後援会の約300人も特製のハッピをきて陣取る。 村田が人生の師と仰ぐ“ナンキン”ボクシング部監督だった故・武元前川先生の家族は、村田が最前列のチケットを用意して招待した。後援会会長の近藤太郎氏によると「家族の方がおっしゃるには天国から武元先生が“村田はやるよ、勝てるよ”とお話されているそうなんです」という。武元先生は、村田にいつもこう言っていた。 「苦しいときこそ前へ出ろ」 ゴロフキン側からの要求もありアンダーカードの試合結果に左右されることなく、試合開始時間が固定され、午後8時45分に両選手のリングインとなった。”さいたまスーパーアリーナの奇跡”の始まりの時間である。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)