今夜ゴング!村田諒太が“最強”ゴロフキンを倒す“埼玉の奇跡“は起きるのか…「過去最高の出来。考え抜いた作戦がある」
一方の村田にやり残したことはない。計量後のリカバリーでは特に水分の取り方に気を付け、“勝ち飯“のうなぎを食べた。 本田会長は「過去最高の出来だ。弁解できないくらい完璧」と明言した。試合前に豪語することのほとんどない帝拳グループの総帥にすれば珍しいコメント。本田会長は「相手がゴロフキンであることが、村田を高め、ここまでのコンディションを作らせたのだろう」と言う。 「リングに上がるとどうなるかわからないが、想像以上に良くなっている。こんなこともできるのか?というくらいだった」とも付け加えたが、村田も同じような話をしていた。 「過去最高。アマ時代の世界選手権前の感覚に近い」 村田は、これまでもアマチュア時代を振り返り「ロンドン五輪で金メダルを獲得したときよりも、その前年(2011年)に銀メダルを獲得した世界選手権の方が調子は上だった」と語ることが多かったが、11年ぶりにその感覚が蘇ってきたというのである。これまで不得意とされたウェービング、ダッキングなどの上体の動きがスムーズにできるようになったことが大きい。東京五輪のボクシング代表チームも見ていたフィジカルトレーナーの寺中靖幸氏の理論的な指導で、重心の作り方を学び、動きに連動性が出てきたのが、その理由のひとつ。ゴロフキン戦では、究極の対応力と突進力、そして駆け引きが求められるが、それを可能にする技術と肉体の進化を遂げたのである。 本田会長も、2年4か月のブランクよりも、むしろ、それを耐え抜いた村田の精神力を称えた。 「よく我慢した。この2年間は大変だったと思うよ。精神面は想像がつかないくらいに凄いよ。自分の頭で考えて律している」 新型コロナの影響で計画していた試合が8度流れた。国内での開催が難しければ海外で試合を組めばどうか?の声もあった。実際、WBA&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)はラスベガスでの無観客試合も経験している。村田に関しては、元WBO世界スーパーウェルター級王者でミドル級へ転級してきた“ポストカネロ”の期待が寄せられるハイメ・ムンギア(25、メキシコ)からのオファーもあったというが、海外での試合になると村田のファイトマネーも下がる。加えて国内で計画されていた試合は、ゴロフキン戦であり、またそのゴロフキンと1勝1分けの戦績を残しているスーパースターのサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)とのビッグバウトだったため、必然、それを優先させる形となり、結果的に長期ブランクを作る形になったという。 「結果的には待って良かったが、最後に村田が試されるのが、リング上でゴロフキンと対峙したときに頭を冷静に使えるかどうか。そこがポイント。真っ白になりましたってあるからね。村田はないと思うが、やってみないとわからない」 本田会長がポイントに上げるのは頭脳戦だ。 「極端な話。ゴロフキンを相手に同じパンチは打てないし同じ動きはできない。すぐに読まれて(パンチを)合わせられる。ジャブでコントロールされたら終わり。だから駆け引きが大事になる」 想像を絶する対応力がゴロフキンの怖さでありゴロフキンもまた同じパンチは打ってこない。 「でも利口な選手には弱点がある。接近できるかどうか。プレッシャーをかけれるか、逆にかけられるかで試合が決まる。前に出れなかったらダメってこと。ただ村田には、考えに考え抜いた作戦がある。それが頼りだし期待している。負けたら相手が強かったってことだよ」 本田会長もそう覚悟を決めている。