アラバマで発見された北米最大の洞窟壁画。アメリカ先住民文化のルーツが垣間見える
不思議な抽象画たち。 ある研究チームが米国アラバマ州にある鍾乳洞の天井をスキャンしたところ、アメリカ先住民が制作したとされる、推定約1,500年前の大きな壁画が発見されました。 【全画像をみる】アラバマで発見された北米最大の洞窟壁画。アメリカ先住民文化のルーツが垣間見える これらの壁画は人のような形状や動物、抽象的な形を描写しており、研究者たちの計算によれば2世紀から10世紀の間に洞窟の天井に刻まれたとか。彼らは洞窟及び壁画の非常にリアルな3Dモデルを生成し、その研究成果はAntiquity誌に掲載されました。
光の届かない洞窟で眠っていた絵画たち
アラバマ州にある洞窟は、所在地を保護するために19番目の無名の洞窟と呼ばれおり、その内部にはヨーロッパ人が北米にやってくる前にアメリカ先住民たちが泥に刻んだ何百点もの壁画が存在していました。絵が刻まれていた空間は25メートル×20メートルの広さで、天井の高さは大部分において0.6メートルほど。つまり壁画は、自然光の届かない洞窟内の暗い場所に存在していたということです。 テネシー大学の考古学者で研究の主著者を務めたJan Simek氏は米Gizmodoへのメールで、「即興で作ったものではありません。彼らは計画があって洞窟の中に行き、描く予定の絵と、描くスケールを把握していました」とコメント。「これらは落書きではありません。彼らにとって意味を持つことが明らかな計画された絵です」と答えていました。 壁画は洞窟内の暗い場所に位置していたため、描くに当たって米国産の竹を束ねた松明の灯を使っていたと考えられます。それゆえSimek氏は、松明を持ったまま窮屈な洞窟の天井に絵を刻むのは難しいだろうから、少なくともふたり以上の集団によって壁画は制作されていたと推測しています。 洞窟内の冷たく湿気を帯びた空気によって、泥が天井に薄くくっついていたため、アーティストたちは泥に絵を刻むことができ、絵は長期的に保存されていたのです。壁画が刻まれたとされる時期には幅があり、放射性炭素年代測定では、壁画があった場所で見つかった木炭の破片が紀元660年~949年、さらに奥の部屋にあった松明の燃えかすが紀元133年~433年頃のものと判明しました。