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コロナ禍、先を見れば消費は低迷せざるを得ない 業界を越え競争激化へ ヤオコー会長

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NIKKEI STYLE

《連載》トップに聞く ヤオコーの川野幸夫会長

新型コロナウイルスの影響で、生活を支えるインフラとして、食品スーパーが苦闘している。日本スーパーマーケット協会の会長でもあるヤオコーの川野幸夫会長は「ライフラインとして責務を果たし、顧客の信頼を得るチャンスだ」と話す。 [日経MJ2020年5月11日付]

■従業員の健康管理やストレス管理をしっかりと

――顧客と従業員の感染を防ぐため各社は対策を強化していますが、かつてない非常事態であり苦労が多いでしょう。 「例えばお客様には一定の間隔を開けてレジに並ぶようにしていただいています。しかし中にはそれを守らない人がいて、別のお客様が店長を叱るという例がありました。『ちゃんと決まりを守らせろ』というふうに。店は大変です」 ――従業員の精神的ストレスは大きいでしょう。 「従業員の健康管理やストレス管理をしっかりとやらなければ、ライフラインとしての役割を果たせなくなります。いかに感染を防ぐかということに細心の注意を払っています。完全な対策というのはなかなかないのですが」 「例えばレジでは顧客との間を、透明なシートで遮断しています。あまり混んではいけないので、特売チラシも配布していません。それでもどうしても混んでしまい、入場制限した店もあります。働く人を増やして各人の作業量を減らしてあげるような策が必要です」 ――かねて人手不足が指摘されてきました。現在どのように人手を確保しているのですか。 「なかなか難しいですね。昔に比べて仕事が専門化していて訓練が必要です。本部社員の多くも店に手伝いに行っています。ただ昨秋の消費増税後、消費が低迷し、いくぶんパートやアルバイトの採用がしやすくなった。そこに今回のコロナの影響で外食などで店舗が休業し、社員が休んでいる会社があります。そういうところと話をして当社に来てもらっています。外食は衛生管理などの訓練ができていて比較的スムーズに働き始められます」

■石油危機の学び 今も守る理念に

「今回SNSでデマが流れ、トイレットペーパーが売り切れて小売店からなくなるような現象が起きました。行政がコロナ対策で何か方針を発表すると、途端にお米や袋麺、パスタがなくなるといったことも起きています。消費者はものすごくコロナの情報に敏感です」 ――1970年代のオイルショックのとき、川野会長はすでに家業のヤオコーで仕事をしていました。あの当時、消費者は冷静さを失い、物不足となる一方、メーカーや小売店の便乗値上げが不評を買いました。 「本当に商品はなくなり、塩もなくなりました。大きな30キログラムの袋に入った業務用の塩があったので専売公社に『これを小分けして売っていいか』と聞くと、困ると。それならば無料で配ればいいですねということで、小袋にして売り場に置き、お客様に必要なだけ持っていってもらいました。オイルショックの前に作ったのに値上げをした食品メーカーがあって『これはおかしい』とかけあったこともあります。お客様が私たちのこうした姿勢を評価してくれ、オイルショックの後、売り上げが増えました」 「今回のコロナに関しては、不足しているマスクと別の商品を抱き合わせて販売する店があったそうです。そういうことをやってはいけない。今のような非常時はある意味で、お客様の信頼を得ることができる絶好のチャンスです」 「こういう時期には売り手の本性と言いますか、地が出るのです。長い目でみると、ちゃんとした理念と志で経営している企業でないと続きません。米国の経済界でも『株主第一主義』を見直して、従業員や社会など幅広いステークホルダーを重視しようという議論が起きています。今回のコロナで、そういう流れが加速しそうです。もうかればいい、というわけではないのです」

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