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パンデミックにおける無意識、なぜ夢…とりわけ虫の夢をよく見るように?

配信

The Guardian

危機的状況の経験

 危機的状況下で働いたことがある人は、ストレスが夢にどう影響しうるのかを知っている。ナビーン・カバーリ氏は、英ロンドン南部にあるキングズ・カレッジ病院の形成外科医で、外傷性損傷を受けた後の再建手術が専門だ。同氏の仕事には、予測不可能で高リスクのプロセスがついて回る。普段は「とてもよく眠れる」と話すカバーリ氏だが、2015年にパレスチナ自治区ガザ地区を訪れた際は、勝手がまるで違ったという。  ガザを訪問したのは、停戦が宣言された直後で、負傷した人々の治療にあたることが目的だったが、イスラエルからガザ地区への移動に不安を覚え、一睡もできなくなっていたという。しかし、さらに衝撃的だったのは、ガザ地区に到着した後に見た夢の鮮やかさだった。  カバーリ氏は、「ある外科医から、多忙を極めた夜間の病院の様子をビデオで見せられた。紛れもないカオスだった。視覚型な人間であるためか、ホテルの部屋でベッドに横たわった後も、その映像が頭の中で何度も繰り返されていた」と振り返る。  同氏は現在までにガザ地区を15回訪れており、訪問中はよく眠れるが、帰国後はそこでの情景の夢を見ることが多いという。「尖塔が細長くなったモスク(イスラム教礼拝所)や、半分吹き飛ばされた建物の中で燃える火、爆弾が町の一角を吹き飛ばしてできた巨大な穴の夢を見る」  ロックダウンに話を戻す。「もう何でもいい」と割り切り、しっかりとうたた寝ができるようになったという人はいる。そういう人は、今までよりもよく眠れるようになった人だ。しかし、その一方で眠れずに苦しんでいる人ももちろんいる。そうした人々にとっては、内在するストレスの「元」となっているのが何なのか、それが睡眠にどう影響を与えているかといったことを考えてみるのがいいのかもしれない。しかし、蠕虫(ぜんちゅう)のような寄生虫の夢を見続ける私にとっては、そうした経験が自分だけではないということが不思議と慰めになっている。 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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