ウマ娘のサイバー藤田社長が矢作師と挑む世界一、まずはシンエンペラーでジャパンカップ制覇
実は今年のBCクラシック戦前、矢作調教師はデルマー競馬場で開催された前回の2021年時にはマルシュロレーヌでBCディスタフ、ラヴズオンリーユーで「フィリー&メアターフ」を制覇していることから「うちの厩舎はデルマーで2戦2勝だから」と笑い飛ばしていた。 結果は「3戦3勝」とはならなかったが、今年のBCクラシックも3着に入り、ひとまず3着以内でみれば「3連対率100%」はキープした。アメリカでのレース後はその足でアメリカのキーンランド・ノベンバーセールへ急行。近年の同国最強馬であるフライトラインの初年度産駒を50万ドル(約7500万円)で落札するなど、馬の仕入れに余念がなかった。
■会社経営と競馬に「共通点」、努力する厩舎が勝利する 筆者がこれに関して思い出すのは昨夏の札幌の夜のことだ。旧知の厩舎関係者を交えてバンド音楽を聴きながら談笑している際に、矢作調教師は「時間がないですよ。エイダン(・オブライエン調教師)などは、それこそ何百頭いる馬の中からさらに強い馬を鍛えて出してくるんですからね。日本の制度の中で、海外のG1を制覇しようとすると、厳しいんだよな」と”ホンネ”も漏れた。しかし、これは志の高さの裏返しでもある。
一方、藤田オーナーはJRAが企画した対談の中で「会社経営と競馬には似ているところがあると思います。競馬ではいくら実力のある馬でも、レース展開や当日の体調次第で勝てないこともあります。ただ、たとえ短期的には運による勝ち負けがあったとしても、中長期的に見れば才能のある馬、努力している厩舎が勝っていくのが競馬です」と話している。 いよいよシンエンペラーは24日のジャパンカップで再び世界の強豪と対決する。矢作師は「凱旋門賞は枠順、馬場、展開がかみ合わなかった。走りきってないので、すぐにジャパンカップへ向かうことにしました。遠征した経験はマイナスになることはありません。状態もいい。日本馬は強いが、3歳馬なので2キロ差もあるし、左回りのほうがいいのでチャレンジャーとして向かっていきます。ワクワクしてます」という。
一方のフォーエバーヤングは2025年の来シーズン、中東遠征を経て最終的には再びアメリカのBCクラシックとなるもようだ。場所は再びデルマー競馬場だ。来年こそ、最強の2人で世界の頂点に駆け上がる。
山本 智行 :フリーランスライター