大谷獲得レースからフィリーズ、ナショナルズ、オリオールズが撤退、理由は
FA資格のない日本人選手のメジャー移籍に関する新ポスティングシステムが日米間で暫定合意したことを受けて米メディアは、日ハムの大谷翔平について様々な側面から記事を発信した。その中で、早くも大谷獲得レースから撤退するチームが出てきたことを複数のメディアが報じた。 NBCスポーツは、「フィリーズは、ブレーブスからFAとなった有望な若手を狙っている。日本の二刀流選手である大谷翔平は、この冬の国際市場のご褒美だが、彼との契約は金額を積めばいいという単純なものではない。日本人選手獲得に実績のある球団やDH起用で二刀流をオファーできるア・リーグが適している」と伝え、フィリーズが大谷獲得レースから降りたことを示唆した。 前日にブレーブスのジョン・コップレラ前GMが、不正な手口を使って海外の有力若手選手を獲得したという規則違反の“罪”で永久追放処分を受けた。同時にチームもペナルティを科せられ、対象の若手13選手は、ブレーブスとの契約を破棄されFAとなったが、この13人の若手選手がFA市場に出たことが大谷の獲得レースに大きな影響を与えたようだ。フィリーズも、早々に、お金のかかる大谷よりも、手ごろで有望な若手13選手の獲得へ方向転換を決断した模様。 ワシントンポスト紙も、「ナショナルズは大谷を狙うだろうか? 突然現れたブレーブスの若手有望選手はどうだろう?」という記事を掲載。ナショナルズも大谷の獲得レースから最終的には降りるであろうと推測した。ナショナルズのマイク・リッゾGMは、「大谷獲得へ向けて適切な調査を進める」と語ったそうだが、「論理的に見て球団は大谷の獲得にむかえない」と分析した。 撤退の理由としては、ポスティングの譲渡金が2000万ドル(約22億円)と高額で、しかも、大谷へは新労使協定の関係で30万ドル(約3300万円)しかオファーできないことを挙げた。チーム状況的にも、すでに野手に関しては戦力が揃っているため、「本当に必要な戦力はローテーションの日程に沿って投げる先発投手にある」とした。またリッゾGM体制になってから、「ナショナルズは、アジア出身の選手の獲得に乗り出した例がない」ということも大谷との獲得レースから撤退する理由として付け加えられた。 オリオールズの地元であるボルチモア・サン紙も、「オリオールズは、獲得可能となった海外の才能(大谷)にまわす予算はなさそうだ」との見出しで撤退の方向性を報じた。 オリオールズが、トレードでの補強に力を入れ、労使協定で認められた契約金制限で大谷にまわせる資金が減っている点に注目。「決して望まないポスティング費用を払ったとしても大谷獲得の仲間に入ることはできない。まだブレーブスからFAとなった有望選手の獲得へ向けた予算の方がありそうだ」とした。こちらも大谷より、ブレーブスからFAとなった13人に注目している。 当初、メジャー全30球団が大谷獲得レースに乗り出すという見通しがあった。しかし、ブレーブスの不正問題で、13人の若手選手がFA市場に突然出たことも手伝い、現実問題として資金力のないチームは、そう予算のかからない若手選手獲得に方針を切り替え、大谷獲得レースからの撤退方針を固めているようだ。