「巣ごもり」が追い風 コロナ禍で競馬などの公営競技が絶好調
全国「公営競技関連法人」業績動向調査
新型コロナ感染拡大で多くのレジャー、イベントに携わる事業者が厳しい経営を強いられている。だが、在宅でもライブ感を楽しめる「公営競技」は、インターネット投票券やレース中継の配信などの急速な普及を追い風に、関連する法人の業績が拡大していることがわかった。 東京商工リサーチ(TSR)は、公営競技の競馬、競輪・オートレース、ボートレースの関連法人の業績をコロナ前と比較した。公営競技関連法人の売上高は最新期(2020年10月期から2021年9月期)で4兆311億円(前期比7.1%増)で、コロナ前の前々期(3兆5739億円)を12.7%上回った。 また、いずれの競技も売上高、最終利益ともにコロナ前を上回った。新型コロナ感染が拡大した2020年以降、各競技は一般客の入場を制限し、投票券発売所の営業も見合わせたが、インターネットを通じた投票券の販売がステイホーム等のコロナ禍での生活様式に合致し、業績拡大につながった。 2022年春以降、各競技は人数制限をしながら一般客の入場を再開した。コロナ禍での新たな客層開拓に寄与したインターネット投票に加え、会場に足を運ぶファンで拡大が続くのか今後注目される。
コロナ禍で2期連続の増収増益
全国の公営競技関連27法人の売上高合計は、コロナ前の前々期(2018年10月期~2019年9月期)が3兆5739億円だった。その後、新型コロナ感染が拡大した前期(2019年10月期~2020年9月期)は3兆7636億円(前期比5.3%増)、最新期(2020年10月期~2021年9月期)は4兆311億円(同7.1%増)と伸び幅が拡大し、売上高が4兆円を突破した。 コロナ禍で、いずれの競技もインターネット投票が増加した。例えば、日本中央競馬会(TSR企業コード:293829640、以下JRA)の電話・インターネット投票会員数は2019年事業終了時に446万9,128名が、2020年には506万3023名、2021年に560万6784名と、コロナ禍の2年間で113万7656名(25.4%増)増加した。東京都競馬が運営する地方競馬インターネット投票「SPAT4」の売上高も2019年(1-12月)の2399億円から、2021年には(同)4361億円と、コロナ禍の2年で売上が1.8倍(81.7%増)に急伸した。 3期の損益推移をみると、コロナ禍を契機に黒字法人の割合が増えた。赤字法人率は前々期16.0%だったが、前期は14.8%、最新期には7.4%まで縮小した。コロナ禍の巣ごもりで伸びたインターネット投票券で売上を伸ばし、収益率の改善に寄与したとみられる。