【独自】「ああ、もう駄目だ」爪で削ったような跡 “処刑・拷問” シリア前政権 刑務所の実態 絞首刑に使われたとされる器具も…
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政権が崩壊したシリアで、残虐な拷問や処刑が行われていたとされる刑務所にJNNのクルーが入りました。中には、非人道的な環境と処刑に使われたとみられる器具が残されていました。 首都ダマスカス北部にあるサイドナヤ刑務所。半世紀以上続いた独裁政権のもと運営され、弾圧を受けた数千人もの市民が投獄されていたとみられています。 受刑者の家族 「息子がここに13年間、投獄されているんだ。当時まだ15歳だった」 アサド政権の崩壊した8日、ここからおよそ250人が解放されました。それから1週間足らず。市民が投獄された家族らを捜していました。 記者 「地面いっぱいに刑務所の資料が散乱しています。みなさん携帯のライトを照らしながら1枚1枚、見ているわけです。何か自分の家族の行方に繋がるものがないか」 看守の部屋を中心に広がっているフロア。雑居房がずらりと連なっています。 記者 「まだ解放されたばかりというのがよく分かりますね」 中には、服などがまだ残されていました。 記者 「ここはトイレですね。つまっていて、流すことも出来ないような状況です」 想像を絶するほど劣悪な環境。食料や医療などはほとんど提供されず、餓死していった人も多いといいます。 地下には、独房もありました。 記者 「壁に囲まれた極めて小さなスペースです。爪で削ったような跡があります。ここに収容されてから何日目かというのを記録していたのでしょうか。『ああ、もう駄目だ』と書かれていまして」 刑務所では、日常的に拷問も行われていたといいます。 記者 「これ見てください。処刑に使われていたということです」 絞首刑に使われたとされる器具も残されていました。 国際人権団体は、2011年からの5年間だけで、1万3000人が絞首刑になったと報告しています。ただ、実際の数は分かっておらず、もっと多くの人が処刑されたとの指摘が根強くあります。 投獄された人たちの多くは、いまも行方が分かっていません。刑務所では、家族らが隠し部屋に取り残された人がいると信じ、捜索を続けています。 受刑者の家族 「私の息子は生きていると思います。大丈夫だと感じます。彼が地下に居てくれることを望みます」 受刑者の親族 「甥との再会を十数年も待っていました」 受刑者らの行方の特定は困難との見方が強く、無事を願う家族の苦しみは続きます。
TBSテレビ