コロナ防護服手作り 広がる輪/大間の主婦・佐藤さん呼び掛け 「人の役に」講座開く
新型コロナウイルスの患者らに対応する医療や介護の現場で不足している防護服を手作りして送る活動が青森県大間町で広がりつつある。東奥日報が昨年6月に掲載した「ポリ袋でガウン/不足防護具 職員手作り」の記事を読んで現場の窮状を知った大間町の主婦佐藤恵美子さん(61)が、作り方を調べて一人で作り始めた。支援の輪を広げようと今月、大間町社会福祉協議会の協力を得て作り方講座を開いた。 「こんなに忙しい医療関係者が防護服を自作? 私がやるよ」。記事を読んだ佐藤さんは、早速インターネットで「防護服」と検索した。見つけたのは「防護服支援プロジェクト」。宮城県気仙沼市などに事務局があり、全国の医療機関などから依頼を受けて簡易防護服を作って送る活動をしている団体の存在を知った。同団体は2月13日現在、計8万1千着を8都府県の213施設に送った。 1着分の材料は、70リットルサイズのポリ袋2枚と養生テープ。ポリ袋を決まった形に切り、2枚をつなげてテープで留めると、袖がある防護服が完成する。 佐藤さんは7月から11月まで、週10着のペースで気仙沼の事務局に送った。秋ごろには仲間が増えて2人になり、約3週間で100着を作れるようになった。 今年1月、首都圏などに再び緊急事態宣言が発令され、防護服の不足が続いている。佐藤さんは「大間でも作ってくれる仲間を増やそう」と今月9日、町総合開発センターで防護服作り講座を開いた。受講したのは、大間病院や介護施設の職員、婦人会の女性たちだ。 佐藤さんの手ほどきを受け、約20分かけて1着を作りあげた婦人会の山崎榮さん(72)は「コロナ禍だけでなく、災害時も洋服の中に1枚着れば防寒になる。材料費がそんなにかからず人の役に立てるのなら、作ってみようと思った」と語った。 大間町社協の手塚由一主任は「実は社協でも防護服を持っていなかった」と明かす。しかし、自宅介護の要介護者が濃厚接触者になった場合は社協が移動支援をすることが想定され、防護服が必要になるという。手塚主任は「防護服が手に入りにくい中、この取り組みが町内で広がってくれたら」と話した。 佐藤さんは「私が作った防護服を着てくれているかもしれない人たちとの目に見えないつながりに、私の方が熱い思いをいただいている」と話す。「このコロナ禍で生きている誰もが穏やかに過ごせますように」。この願いを原動力に製作を続けている。 作り方の動画や図面は「防護服支援プロジェクト」のホームページで紹介している。製作のほか、検品や運営費寄付で支援することもできる。