またも幹部が突然の退社 ChatGPTのオープンAIが向かう先
幹部が相次いで退社しているオープンAIで、また新たに、主要幹部の退社が発表された。オープンAIで何が起きているのか？ 【画像】オープンAIの組織改革で1兆円以上を手にいれると報道された人物
また、突然の退社発表
生成AI「ChatGPT」を運営するオープンAIのミラ・ムラティCTO（最高技術責任者）が退社することを自身のX上で発表した。オープンAIでは幹部の退社が相次いでいて、共同創業者でチーフ・サイエンティストを務めたイリヤ・サツキバーが2024年5月に退社した。 別の共同創業者も退社後に競合に移籍している。オープンAIに何が起きているのか？ 6年半にわたってオープンAIに在籍したミラ・ムラティは主要幹部の一人としてメディアへの露出も多かった。創業者でCEOのサム・アルトマンが2023年に理事会から突如解任された際、暫定CEOに就くなど注目を集めた人物でもある。 ムラティは「よく考えたうえで、オープンAIを去ることにした。難しい決断だったが、探究するための時間をつくりたい」と退社理由を説明している。スムーズな引き継ぎに向けた計画を近く発表すると述べた。
オープンAIが向かう先
英通信社「ロイター」はこの退任と同時に、オープンAIは非営利団体から営利を求める企業に組織改革する計画を立てていると関係者が伝えたと報じた。正確には、理事会（企業の取締役会に当たる）とオープンAIの非営利団体としての組織は存続させるものの、その非営利団体が営利企業の株式の一部を保有するというものだ。 さらに、この営利企業の価値評価額は1500億ドル（約22兆円）にのぼり、組織改革後にその株式の一部をオープンAIの創業者でCEOのサム・アルトマンが受け取るという。米メディア「ブルームバーグ」は全株式の7%をアルトマンが受け取る協議に入ったと報じた。 オープンAIは組織改革と同時に、65億ドル（9750億円）の資金調達をおこなう見込みで、米ベンチャーキャピタルのスライブ・キャピタルやタイガー・グローバルなどが出資すると報じられているほか、マイクロソフト、エヌビディア、アップルなどが出資を検討しているという。 ChatGPTを発表して以降、オープンAIではAI開発と安全性の確保とのバランスをめぐって、幹部の間で議論や対立が深まってきた。創業時のメンバーはアルトマンCEOを除いてほとんどが同社を去っている。 米メディア「CNBC」によると、ムラティは2024年６月に登壇したイベントで、「新しいAIツールは複数のクリエイティブな仕事を奪う」と発言して物議を醸した。「(AIが進化すれば）クリエイティブな仕事でなくなるものは出てくるが、人間によるその仕事が高品質でなければ、そもそもその仕事はあるべきでなかったと言える。AIは教育やクリエイティブな分野で活用することで、人間の想像力や知性が拡大する」と強調した。 はたしてオープンAIが向かう先とは？ ムラティの退社の意味は、今後のオープンAIの動向次第で結論づけられそうだ。
COURRiER Japon
