フォード・トルネオ・クーリエ 詳細データテスト 商用由来らしからぬ足さばきと乗り心地 価格は高い
内装 ★★★★★★★☆☆☆
トルネオ・クーリエは、ヴィクトリア朝時代の背が高い帽子をかぶっていても乗れそうなクルマだ。前席の頭上は大きなスペースがあり、便利なルーフストレージコンソールも備わる。 シートは最大限下げると、この手のクルマとしては珍しいほど低いドライビングポジションが取れる。フォードとしてはいかにもミニバンという運転感覚に仕立てたくなかったのだろうが、背の高いテスターでも半分下げたくらいのほうが、視認性と操縦系の高さとの関係がよくなり運転しやすいと言っていたのは皮肉なものだ。 フロントドアはとくに大きく感じられ、閉めるときには音が多少響く。運転環境は、シンプルで機能的。チープに見えるところもあるが、まったく飾り気がなくプレーンなわけではない。 表面に模様の施されたモールディングパーツは質感におもしろみを加え、なかなか効果的だが、ドアコンソールにひざを当てて体重をかけると軋んだり曲がったりする。フットウェルのメインのモールディングは持ち上がっていて、乗り降りの際に足が引っかかりやすい段差が生まれている。 デジタルのメーターパネルと自立式インフォテインメントディスプレイはダッシュボード上部に設置され、その背後にはワイドな収納スペースが隠れている。助手席側は、前に運転席側より小さい小物入れが、フットウェル横に書類入れが、それぞれ備わっている。 後席も頭上は広く、レッグルームもミッドサイズのファミリーカーに匹敵するほど。シートは、クッションがやや短くフラットで硬め。前後スライド機構はなく、取り外しもできない。ただし、フォールドとタンブルにより、荷室容量は最大2162Lに達するので、コンパクトボディでも積載性に不満はない。 荷室のサイドパネルには、片側に汚れたブーツを収めるのにピッタリなくぼみが、反対側に細々したものを置いておけるトレーが設けられている。競合車に見られるルーフコンソールやスライディングフックなどより工夫が足りないが、コストの制約を考えれば仕方ないかもしれない。とはいえ、モールディングはキャビン以上にチープな見た目で、擦り傷がつきやすそうだった。