50年ぶりにアサド一家のいない朝迎え、歓喜に沸くシリア国民 見えぬ将来に不安も
シリア国民は9日、50年間にわたり残忍な独裁政治で国を統治してきたアサド一家のいない朝を迎えた。街中で歓喜の声が起こる一方、国の将来に対する不確実性がその喜びに影を落とした。 ここ数週間、シリア反政府勢力が電撃的に進軍したのに対し、政府軍の防御は急速に崩壊。アサド大統領とその家族はロシアに逃亡した。 この日を50年間待ち続けていたと話すこちらの男性は、「シリアという名の大きな監獄」で暮らしてきたと語った。 13年に及ぶ内戦の末、反政府勢力が勝利したことは、正常な生活が戻るかもしれないという期待を住民にもたらした。この男性は、影響力を持つ各派閥が情勢を掌握し、「物事が正常に機能し、以前の状態に戻り、さらにそれ以上良くなるよう神のご加護を祈っている」と述べた。 シリア国民が祝賀ムードにわく中、周辺国は自国の利益を確保しようと画策した。 イスラエルは、占領地ゴラン高原の非武装地帯に部隊を派遣した。サール外相はこの派遣は一時的なもので、イスラエル領への暴力の拡大を防ぐためだと述べた。またイスラエル空軍は、シリアの首都ダマスカス近郊の拠点を空爆した。米軍の戦闘機もまた、シリア国内の過激派組織「イスラム国」関連の標的だとする場所を攻撃した。 ロシアは、シリア国内のロシア軍基地の取り扱いについて同国の新たな指導者らと協議する予定だと述べた。 イランのアラグチ外相は8日、シリア軍が急速に崩壊したことにイランは驚いていると述べた。アサド大統領はイランの重要な盟友であり、ヒズボラなどイランが支援する武装組織に武器や支援を供給していた。