J1で“監督シャッフル”…福岡の長谷部氏→川崎、川崎の鬼木氏→鹿島…2人の指揮官は新天地でチームを復活に導けるのか
メンバーをそろえながら、鹿島はあと一歩の壁を越えられない、まさに地団駄を踏むシーズンをすごしてきた。そこへクラブの原点回帰をより強く意識させる鬼木氏のイズムと戦術が加われば、名門復活へのきっかけとなる可能性は十分にある。 長谷部氏と同じく、鬼木氏が選手たちから寄せられる人望も厚い。川崎での最後の一戦となった8日の福岡との最終節後のロッカールーム。鬼木監督が涙ながらに選手一人ひとりをねぎらい、FW小林悠(37)をはじめとする選手たちが号泣する姿が収められたクラブ公式YouTubeの映像は大きな反響を呼んだ。 迎え入れる鹿島はシーズン終盤の10月に、異例ともいえる強化部の刷新に踏み切っている。2022シーズンからフットボールダイレクターを務めてきた吉岡宗重氏(46)が退任。黄金期に主軸を担った元日本代表の中田浩二氏(46)が後任に就くとともに、吉岡氏が今シーズンに招聘したランコ・ポポヴィッチ監督(57)も解任された。 途中就任ながら、残るシーズンを3勝3分けと無敗で乗り切った中後雅喜監督(42)が再びコーチに戻り、鬼木新監督を支える今後の鹿島に求められるのは一貫性となる。中田フットボールダイレクターのもと、無冠だった今年までの8年間で7人もの監督が指揮を執った混乱状態を収束させる作業が、常勝軍団復活への第一歩となる。 新たな指揮官が決まった両チームは、来シーズンへ向けた戦力編成も急務となる。外国人選手を含めた新戦力の獲得だけではない。ある程度の結果を残した日本人選手が、海外へ新天地を求めるケースが多い移籍市場が来年1月に幕を開ける。主力が移籍する事態への迅速かつ的確な対応もまた、新監督のもとで目指す名門復活を支えていく。