テレビや電話も遮断。現地の若者の思いを聞いた。「怖い」「独裁望んでいない」クーデター当日の悲痛な声
ミャンマーで2月1日早朝、国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー国家顧問兼外相やウィンミン大統領らを拘束した。国軍は「軍が全権を掌握した」とテレビ放送で発表した。ミャンマー国内では、朝からインターネットや電話、テレビが遮断されるなど、通信に障害が出ている。現地の状況、そして人々の思いは。BuzzFeed Newsはメッセンジャーを通じて、現地のミャンマー人2人に取材した。【BuzzFeed Japan / 冨田すみれ子】
「独裁政治、望んでいない」「怖い」
ヤンゴン在住の会社経営の20代男性は取材に対し、突然の状況に不安な思いを語った。 2月1日午前6時半(現地時間)、ラジオ局で働く友人から、Facebookメッセンジャーでコールを受け、クーデターについて知らせを受けたという。 男性は直後にヤンゴン市内に住む母親に安否確認の電話を入れた。この時は電話が通じていた。しかし、その後、ネピドーで働く父親に電話すると、通じなくなっていた。 午後3時時点で父親とは連絡が取れていないといい、「とても心配です」と話した。 インターネットは基本的に通じないが、中には通じるWiFiもあるという。自身が経営する会社でネットに接続し、男性は取材に応じた。 「独裁政治は望んでいません。クーデターを経験するのは初めてなので、本当にどうなるのか心配しています。怖いです」 「国連や各国政府がミャンマー国軍に圧力をかけ、働きかけてくれることを望んでいます」
ミャンマーでは、1962年に軍事クーデターが起こってから50年以上にわたり軍が政治支配をしていたが、2015年にアウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が勝利。本格的な民主化に向けた希望の兆しが見えていた。 NLDは昨年11月に行われた総選挙でも圧勝。軍政支持側の政党が敗北したが、国軍は「有権者登録などに不正があった」と主張。2月1日の国会初日を控え、軍がクーデターに動くのではないかという観測が、国内外で広がっていた。 20代の若者にとっては、その変化を目の当たりにしていたため、今回のクーデターは「ショック」だった。 1日午後3時時点では、ヤンゴンの街中は静かだというが、男性は「人々が抗議活動をして、軍と衝突しないかと心配」と話す。 ミャンマーでは2007年、軍が民主化運動を実弾で弾圧し、取材に訪れていた日本人ジャーナリスト長井健司さんが、軍の銃撃を受けて殺害されている。 報道によると、ネピドーやヤンゴンの街中には兵士や警察の姿もあり、緊張が高まっている。 Facebookはクーデターの話で持ちきりで、人々は不安や恐怖の思いを綴っているという。 アウンサンスーチー氏の拘束に抗議の意を示すため、人々はFacebookのプロフィール写真を、真っ黒にしたり、アウンサンスーチー氏の顔写真に変えている。 男性も、抗議の思いで、プロフィール写真を真っ黒に変更した。