コロナ禍の靖国神社は「静か」だった。しかし、参拝には長蛇の列も…
コロナ禍の8月15日、終戦の日。東京都千代田区の靖国神社には例年のように、大勢の人たちの姿があった。参拝まで2時間待ちの時間帯もあり、この日の都内の最高気温は35度を超えた。熱中症を懸念して諦める人もいた。【BuzzFeed Japan / 籏智広太、瀬谷健介】 【写真】コロナ禍の靖国神社と千鳥ヶ淵 1つの質問を参拝者にしたら 靖国神社の担当者によると、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年はソーシャルディスタンスを保つように、導線を確保するなどの措置を取ったという。そのため、例年以上に長い行列ができたとみられる。 ただし、8月15日の参拝者数は、平日だった昨年の半分以下の数となった。今年8月15日の参拝者数(開門午前6時~閉門午後6時)は、2万4000人だった。 境内の神門より拝殿側である「内苑」の参拝者数で、同じく内苑のみを集計し始めた2018年の6万4000人、19年の4万9000人の半分以下となった。 靖国神社の担当者はBuzzFeed Newsの取材に「今回、8月8日から16日までを『戦没者慰霊週間』として位置付け、期間中に分散しての参拝を事前に呼びかけました」と語った。 BuzzFeed Newsは2016年から毎年、終戦記念日の靖国神社を取材しているが、違いもあった。 まず、例年であれば遺族会などが全国各地から大型バスなどで団体で訪れていたが、今年はそうした人たちの姿が少なかった。 靖国神社の担当者によると、近くにある日本武道館で開かれる全国戦没者追悼式の規模が縮小されたことが影響しているとみられるという。 一方で、帰省や旅行を自粛している人たちが、都内にある靖国神社を訪問先に選んだというケースもあった。
保守団体のイベントもネット中継に
また、神社の参道では改憲運動を目指す保守団体「日本会議」などによる追悼集会やイベントが開かれていたが、今年はネット中継による開催となり、大型のテントやそこに集まる人たちの姿はなかった。 関連団体の関連書籍や物販を売る出店ブースも、例年のようには並んでいなかった。日本会議の担当者によると、新型コロナウイルス感染拡大を鑑み、主催者の判断でテントでの開催を見送ったという。 このほか、楽器などを使って戦時中の軍歌をうたう人たちの姿もなく、街宣をする人もあまりいなかった。さらに、ここ数年多く見られるようになっていた、外国人観光客の姿もなかった。 列に並んでいる参拝客も口数は多くなく、例年に比べて「静か」な終戦の日になっていたように感じられた。