ファミマ「お母さん食堂」の名前変えたいと女子高校生が署名活動、「料理するのは母親だけですか?」
社会の空気つくるのは言葉。もっと敏感に
今回の署名には「言葉狩り」「営業妨害」「日本の家庭を崩壊させる行為」「『お父さん食堂』ならいいのか」などの、批判や中傷も寄せられている。 ガールスカウト日本連盟事務局の教育・指導者グループ、篠宮さおりさんは言う。 「署名には2200人を超える賛同が集まっています(2020年12月28日時点)。共感して下さる方々もいらっしゃる一方で、性別役割分業を助長するようなネーミングが違和感なく受け入れられる社会であるということもまた事実。こうした社会の空気を作り上げるのは言葉であり、その影響力はとても大きい。私たちは言葉についてもっと敏感になるべきです。 この署名活動を通じて多くの方々が、社会にあふれる『ジェンダー平等の実現』を阻む要因について、より自分や自分の身の回りの人々に関係のあることとして意識し、考える機会となることを願っています」 「お母さん食堂」以外にも、従業員が社食の代わりに購入できる惣菜「オフィスおかん」、2018年に終了したDMM.comの家事代行サービス「DMM Okan」など、家事に関するサービスには母親の呼び名がつけられることは多い。 国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」(2018年)によると、夫婦の平日の1日の平均家事時間は妻は263分で、夫の37分の約7倍にのぼる。 女性を対象にしたアンケートで、日本社会の中でどんな時に不当に扱われたと感じたか? という質問で最も多かったのは、「家事分担の話し合い中」。仕事の機会を妨げているものとしても、組織より「家庭内でのサポートが足りない」ことをあげる女性の方が倍近く上回ったという調査結果も出ている。
署名提出の時に話し合いたい
家事の負担が圧倒的に女性に偏った現状で、そのジェンダーバイアスの再生産につながり得る商品名、サービス名がつけられていることは、もっと議論されるべきだろう。 ファミリーマート広報部は今回の署名について、「貴重な意見として受け止めております」と回答。その上で、 「お母さん食堂は、家族の健やかな生活を想って作った、美味しくて安全・安心な食事と食材を提供するブランドです。お客様にとって一番身近で美味しくて安心できる食堂を目指しています。 今後さまざまな意見をお聞きしながら方向性を決定してまいりますが、現時点では未定でございます」 と説明した。 署名は12月31日まで。署名をファミリーマートに提出すると共に、同社と話し合う場を持ちたいと署名を立ち上げた女子高校生は語っている。 (文・竹下郁子)
竹下 郁子