なぜ大迫は”厚底席巻”の高速レースで日本記録を更新し五輪代表を引き寄せ泣いたのか。本当に瀬古氏危惧の本番メダルは無理なのか?
大迫の激走に胸を打たれたファンは多いが、一方で世界との差も明らかになった。今回の優勝タイムは2時間4分15秒で、3位までが2時間4分台。日本勢は彼らに25kmすらついていくことができなかった。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、「期待されて、その通りに走った彼は本当に凄い選手」と大迫の走りを評価しながらも、「世界は2時間1~3分台が当たり前。今日のようなレースでは東京五輪のメダルもなかなか難しい」と厳しい言葉も口にした。 東京マラソンを連覇したビルハヌ・レゲセはエチオピア代表が有力で、世界記録保持者のエリウド・キプチョゲはケニア代表が決まっている。大迫といえども、世界トップとの真っ向勝負は厳しいが、今回のように42.195kmトータルで実力を発揮することができればメダルに近づくことは可能だと思う。 「自分が速くなっていく。それを追求することだけを考えています。結果的に今回は4番だったので、まだまだ改善点はありますが、現時点で東京五輪に近い存在になれたので、自分を信じて準備をしていきたいと思います」と大迫。札幌開催となる東京五輪でも、日本のエースが熱狂をもたらしてくれるだろう。 (文責・酒井政人/スポーツライター)