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彼の紡ぐ調べはなぜ人の心をとらえるのか 映画音楽の巨匠モリコーネの死を悼む

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 ▽聴き継ぐ  マエストロ・モリコーネが映画音楽を作る上で最もこだわったのは、聴き手に優しいかだった。「自分の音楽についてはやはりコメントは難しい。あえて言えば、私の音楽は聴きやすい音楽なのかもしれない」。邪魔にならない音楽であるとも語った。確かに、モリコーネ音楽は、映画の映像の邪魔にならない。映画を見ている人の気持ちの邪魔をしない。映画と鑑賞者の気持ちに対して絶妙な伴奏になる。  「武蔵 MUSASHI」の原作となった小説「宮本武蔵」の作家、故・吉川英治さんが生前、大衆に愛される作品について「読者は、小説の中の自分を読んでいる」と語ったという。聴き手に寄り添うモリコーネ音楽に、わたしたちは自分の思いを仮託する。そして、自分自身の心の音楽として聴くのかもしれない―なるほど、みんなに愛されるはずだ。  ところで、マエストロがせっかく日本人のために作ってくれた「武蔵 MUSASHI」の主題曲だが、耳にする機会はほとんどなくなった。多くのモリコーネ名曲選から外されている。

 指揮者の故・岩城宏之さんが「名曲になる条件」を教えてくれたことがある。「ベートーベンだって、数世代にわたる多くの人々が聴き継いでくれたから、現在のぼくたちが聴くことができる。お客さんたちがベートーベンを残してきた」。名曲になるかどうかは、主に日本人に懸かっている。  今、この主題曲を聴き直してみると、映画音楽の偉大な作曲家の死を悼み、多大な功績をたたえる葬送の曲のようでもある。もしかしたら、自らの人生と、宮本武蔵の力強い生き方が重なって見えたのか。マエストロに聞いてみたいが、その機会は永遠に失われた。せめて感謝とともに、これからも聴き継いでいきたい。

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