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彼の紡ぐ調べはなぜ人の心をとらえるのか 映画音楽の巨匠モリコーネの死を悼む

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 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の音楽などで知られるイタリアの作曲家、エンニオ・モリコーネさんが7月6日、ローマで死去した。91歳だった。「荒野の用心棒」から「ニュー・シネマ・パラダイス」まで、手がけた映画音楽は実に多彩。「モリコーネ節」とも称される美しい調べがなぜ、多くの人の心をとらえるのか。巨匠へのインタビューを手掛かりに探ってみたい。(共同通信=小池真一)  ▽ファンファーレ  「私は本当に好きな音楽しか録音しない。自作曲をとても気に入っている。難しいのは、作曲家本人として『私の音楽はすばらしい』と言えないことだ」。マエストロ・モリコーネは開口一番、こう切り出した。そして「荒野の用心棒」のすご腕のガンマン役、名優クリント・イーストウッドのように、にやりとほほ笑んだ。2002年12月下旬、冬の穏やかな日差しが差し込むローマ市内の邸宅でのことだ。  自作曲とは、2003年に放送されたNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」の主題曲だ。江戸時代初期の剣豪・宮本武蔵の生涯を描くこのドラマのために巨匠がささげたのは、マカロニウエスタン映画「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」のようなかっこいい曲ではない。もちろん、あの口笛もない。

 その代わり、毎週日曜夜のドラマ放送で数千万人の日本人が耳にしたのは、厳かなファンファーレだった。元トランペット奏者らしく、マエストロの心の代弁者ともいえるトランペットが、高らかに主旋律を奏でた。大河ドラマの主題曲といえば、主人公の活躍をイメージさせる躍動感のある曲が定番だというのに。  ▽深い作品理解  いわゆる冒険活劇の劇伴スタイルにしなかったのには、訳があった。「武蔵はとても完璧な人物だと思う。とても力強く生きた英雄だ。常人の生き方とはかけ離れている。でも、愛もあるし、裏切られもする。気持ちは常人と同じで、心引かれた。私は曲を書くとき、武蔵の気持ちを全部表現したつもりだ」。日本人への敬意も込めたと明かした。  このインタビューからほぼ半月後の1月17日、映画「ゴジラ」のテーマ曲などで世界的に知られる伊福部昭さん(故人)に、東京都内の瀟洒(しょうしゃ)な邸宅で話す機会があった。共通の友人を挟んでモリコーネさんとは知り合いだと答え、同志を懐かしむように笑った。ゴジラのような火炎でなく、紫煙をくゆらせながら。

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